見出し画像

これからの「エシカルファッション」の形

こんにちは!春の気配が色濃くなる今日この頃、いかがお過ごしですか?

今回はあらためて「エシカル」の背景にあるアパレル産業の課題と、TSUNAGUが目指したいエシカルファッションの形について書きたいと思います✍️

サプライチェーンが生み出す複合的な課題

国内外で「エシカルファッション」という言葉がよく聞かれるようになってきましたよね。そもそも、この「エシカル」という言葉の背景には、アパレル業界が抱える構造上の課題があります。

例えば、生産過剰による廃棄や、それに伴う環境破壊。具体的に、アパレル産業は世界で2番目に汚染を生んでいるというデータもあります。さらに、大量生産のシステムの皺寄せとして、労働者の賃金の低下もあげられます。

また、複雑な生産背景、サプライチェーンにおける情報は不透明な部分が多く、それゆえ消費者はアパレル業界が抱える課題に気づくことが難しい状況になってしまいます。

こうした商品の過剰な供給と低価格化が進むことで、サプライチェーンの仕組み自体が悪循環にはまってしまうのです。だからこそ、そうした課題が生まれる仕組みそのものに目を向ける必要があります。

このように、アパレル業界の主な課題やその繋がりをまとめると、以下のような図になります。

スクリーンショット 2021-03-28 0.04.11

テクノロジー、自然、人が循環するエシカルファッションの形

では、実際にどのように仕組みに対して行動を起こせるのか。そのヒントとなるのが、「テクノロジー」「自然」「人」の3つであると考えています。

スクリーンショット 2021-03-28 0.04.22

まず、「テクノロジー」について。これは、生産・消費・廃棄といった領域それぞれで生まれている新たな先端技術を指します。

例えば、オーガニックコットンのテキスタイルを展開する「Panoco Trading」では、生産工程を追体験できるQRコードを開発していたり、「CLO」という3Dパターンメイキングの技術によって、サンプル製作時に出てしまう廃棄を減らすことができます。他にも、日々生まれる新しいテクノロジーやサービスは、「エシカルファッション」に向けた実現の大きな手助けとなるはずです。


2つ目は「自然」。従来、環境問題に対して行われるアプローチとして「環境保護」という視点がありますが、これはいわばネガティブな影響を受けた環境をいかにゼロに戻していくか、という視点。こうした取り組みに加え、近年注目されているのが「リジェネラティブ農業」という実践的な取り組みです。

「リジェネラティブ」とは「環境再生型」という意味があり、主に農業分野で汚染された土壌の回復を目指す言葉です。まさに、人の手がサポートすることによって、より良い土壌、環境を増やして行くことに力点が置かれています。

これは食の領域だけでなく、ファッション領域においても実践可能な取り組みです。例えば、アウトドアブランドの「パタゴニア」では「リジェネラティブ・オーガニック農法」を用いたオーガニックコットンの栽培を開始しています。また、麻にはCO2を多く吸収する特徴があるなど、天然素材に目を向けると、私たちの身近なファッションを通して環境にアプローチできることが分かります(詳しくは、以前筆者が執筆したこちらの記事をご覧ください!)。

つまり、アパレル業界がリジェネラティブ農業に注目し実践することで、衣類の生産自体が環境回復の手段になり得るということです。これは、「エシカルファッション」に向けた前向きな実践だと感じます。


最後の3つ目は「人」です。これは、サステナブルな社会を目指す全ての人を意味します。

サステナブルやエシカルの話題は、どうしてもその背景にある「社会問題」そのものに目が向きがちです。しかし、実際に課題解決に向けて手を動かすのは、私たち人間。今までの社会システムをサステナブル、エシカルなものへと変化させて行くには、長期的な時間とエネルギーが必要になります。すなわち、活動家のモチベーションや情熱など、「内面」自体が持続可能であることで、より自分自身に根ざした長期的な活動へのエネルギーとなるはずです。


私たちが考える「エシカルファッション」の形は、それぞれ個人が主導となり、多様なブランドのあらゆるポジションから起こっていくもの。実際に、デザイナーが表現したいアプローチで、エシカルを意識した小規模ブランドがどんどん誕生しています。そのように、デザイナー自身が生産者や消費者とコミュニケーションできる距離感で物を作っていくことで、結果として「エシカル」と言える世界を構築できると考えています。

具体的に、どのようなブランドがあるのか、そしてそのブランドに反映されるデザイナーの思いや美学については、今後TSUNAGUのnoteで発信していきます。

TSUNAGUでは、テクノロジー・人・自然の3つの関係性に焦点を当て、今後ワークショップの企画や情報の発信をしていきます。

引き続き、私たちの発信をぜひ覗いてみてください😊


【参考】
・国際連合広報センター「国連、ファッションの流行を追うことの環境コストを「見える化」する活動を開始


Written by Mari Kozawa

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?