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DIYリノベとアスベスト

●年末のアスベスト報道について

昨年末、大手インテリア販売企業から衝撃的なニュースが報じられました。その報道は当該企業から販売された珪藻土を用いた商品に、アスベスト(石綿)が含まれているというもの。

アスベストは天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。
石綿は、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。

昭和50年に吹付材としての使用が原則禁止、その後、2004年には1%以上の含有、2006年には0.1%以上の含有製品の出荷が規制されていた石綿が、珪藻土の商品に含まれていたのは驚きです。

現在、当該インテリア企業において、交換・返金などの対応をしてくださっていますので、購入時期、品番等がわかる場合は一度、ビニール袋などに入れて持ち込まれるのをお勧めします。
一般ゴミとして廃棄することは出来ませんのでご注意ください。

●DIYとアスベスト

さて、本題。
昨今DIYがとても流行っていますが、中には古民家や築年数が古い建物を安く購入し、解体からDIYをされている方も見受けられます。
しかし、ここに注意が必要です。

建築業界に携わっている場合は皆さんご存知だと思いますが、アスベストは断熱保温目的で使われた吹付材だけに含有されている訳ではありません
戸建て住宅には使われていないと思われているのですが、そんなことはありません。
DIYを楽しんでいる内に、知らずにアスベストに曝露されている可能性があるのです。

●アスベストはどんなものに含有されているのか

では、どんな物にアスベストが含有されているのでしょうか。

飛散性のものとしては、保温断熱を目的とした吹付材が有名です。
非飛散性のものとしては強度を高める目的として、成形板に使用されていました。
スレート屋根や外壁サイディングの他、煙突、石膏ボード、ビニル床材など、その種類は多岐に渡ります。

国土交通省と経済産業省が共同で下記のデータベースを開示しています。

もし、新築当時の図面や仕上表などが残っている場合は、一度調べてみましょう。
また、上記データベースで含有されているかわからない場合は、マスクやメガネ等の防護措置を取った上で一部を採取し、含有の有無を調べる「定性分析」を行ってくれる調査会社に依頼をお願いしましょう。
1検体あたり20,000〜30,000円程度で依頼できます。

●アスベストの処分方法

アスベストの使用が疑われる建物の解体・処分は労働安全衛生法、大気汚染防止法、廃棄物処理法等によって規制されています。

前述の検査方法によってアスベストの含有が確認された場合、非飛散性のアスベスト含有建材であれば、市区町村で処分が出来ることがあります。
処分の方法は市区町村によって異なるので、必ず確認をお願いします。
吹付材等の場合は、専門業者による撤去作業を行いましょう。

古い建物にはアスベストが含有された建材が使用されている恐れがあります。
DIYによる解体を行う前には必ず、アスベストの有無をチェックし、被曝する可能性を減らして、楽しくDIYを行うようにしましょう。

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