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ゼネコンは差別化が難しい業界

日本には2万社を超えるゼネコンがあると言われています。

わたしは28年間ゼネコンで働きましたが、その経験から感じることはゼネコンは非常に差別化が難しい業界だということです。

ゼネコンの大きな特徴のひとつは典型的な請負業であることです。
世の中の仕事の多くは「作って売る」がビジネスモデルであるのに対し、建設業は「請けたモノを造る」というのがビジネスモデルであり、受け身のビジネスモデルとも言えます。

もう一つの特徴は、生産拠点である「現場」が固定されていないことです。
建設業と同じく重層構造を持っている業界としては造船業があり、どちらも巨大な建造物を造る産業ですが、造船業は自社のドックを持ちそこで作業をし巨大な船を作ります。

対して建設業は発注者から指定された場所で作業をし、そこで巨大な建造物を造らざる得ません。

この違いはとても大きな差を生むことになります。

通常、どの企業でも自社工場は固定された場所にあります。
結果的に協力会社も固定化されていき、そこに作業方法やプロセスの独自性が生まれ、それがその企業の技術や製品の差別化へ繋がっていきます。

しかし、ゼネコンの生産拠点である「現場」はいつどこにできるか分かりません。
一緒に仕事をする協力会社も現場が決まるまでわかりません。
いつ、どこででも同じ品質の「現場」を確保するためには、極端な独自性を出すことはマイナスです。
その独自性についてこれる協力会社が確保できるかどうかわからないためです。
結果的に建設業は独自性が生まれにくい環境となっていったといえます。

これは建設業の請負形態であるJV(建設共同企業体)を組むことが当たり前ということから見ても明白です。

複数のゼネコンが一緒に仕事をするJVを組むためには、現場の運営プロセスや施工プロセスがある程度同じでないとJVを組むことはできません。
つまりスーパーゼネコンも、準大手と言われるゼネコンも、地方の中小ゼネコンも、現場を運営するプロセス、施工管理のプロセスは基本的には同じです。(その管理手法やレベルには違いがありますが)
これは他の業界では見られない大きな特徴ではないでしょうか。

そしてここが建設業の非常に面白いところであり、建設業がこれから大きく変わっていける可能性を秘めた部分でもあると思っています。

日本に2万社以上あるといわれているゼネコンですが、今後は差別化ができないゼネコンは淘汰されていく可能性があります。

このnoteではゼネコンが差別化をしていくためのポイントを発信していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

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