Apple Musicでローリング・ストーンズのシングル「シーズ・ア・レインボー」を最高音質で聴く方法
「シーズ・ア・レインボー」は、イギリスを代表するベテラン・ロックバンド、ローリング・ストーンズが1967年に発売したシングルで、同年にリリースされたサイケデリック・アルバム『サタニック・マジェスティーズ』に収録されています。
発売当時は本国イギリスでのリリースはなかったものの、アメリカやヨーロッパの数カ国でシングル・カットされ、アメリカのビルボード チャートでは最高位25位まで上昇するスマッシュ・ヒットとなっています。
このように、発売当時、チャート・アクション的には、決して大ヒットと呼べるような成績を上げることはできませんでしたが、その後、アップルのCM等に使用される等を経ることで、結果として、多くの人々の印象に残る時代を超えた名曲として認識されるようになりました。
本日の記事では、Apple Musicで、この「シーズ・ア・レインボー」を、最高の音質で聴くためのノウハウをお伝えしていきます。
「シーズ・ア・レインボー」を最高音質で聴けるのは、「サタニック・マジェスティーズ」50周年記念版
結論から言います。
Apple Musicで、「シーズ・ア・レインボー」を最高音質で聴くためには、アルバム『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』を選ぶようにして下さい。
その理由は、この『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』(2017年)が発売される前までは、「シーズ・ア・レインボー」のステレオ・バージョンに、音揺れによる音質劣化が生じているマスター・テープが使用されていたからです。
具体例を挙げて説明していきます。
実は、この「シーズ・ア・レインボー」のステレオ・ミックスには、1:22付近にほんのわずかではありますが音揺れによる音質劣化が生じています。
残念なことに、以下のベスト・アルバムに収録されている「シーズ・ア・レインボー」にはいずれも、この音揺れのあるステレオ・バージョン(イントロの前のSEが無いもの)が収録されてきました。
()内は聴くことのできるフォーマット。★=CD、☆=サブスク(Apple Musicを含む)
・Through the Past, Darkly(Big Hits Vol.2)(1969年)(★、☆)
・More Hot Rocks(1972年)(★、☆)
・Forty Licks(2002年)(★)
・GRRR!(2012年)(★)
なんと、実に43年間もの間、ステレオ・バージョンの「シーズ・ア・レインボー」には、音揺れのあるマスターテープが使用され続けてきたのです。
しかし、この状態も、2017年にようやく終止符が打たれます。
同年に発売された『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』には、同アルバムのステレオ・バージョンとモノ・バージョンがいずれも最新リマスターにて収録されました。
(モノ・バージョンについては、前年(2016年)に発売された『ローリング・ストーンズ・イン・モノ』に収録されたリマスター音源をそのまま流用されました。)
その際に収録されたバージョンに音揺れのないマスター・テープが採用されたことで、ようやくこの「シーズ・ア・レインボー」のステレオ・バージョンが、音揺れなしで、かつ最新のリマスター音源で聴くことができるようになったのです。
(ただし、アルバム『サタニック・マジェスティーズ』に収録されているのは、イントロの前にSEが付与されているアルバム・バージョンになります。)
Apple Musicには2種類の『サタニック・マジェスティーズ』がラインナップされている
ただし、Apple Musicには、アルバム『サタニック・マジェスティーズ』が次の2種類ラインナップされているので注意が必要です。
①『サタニック・マジェスティーズ』(2002年リマスター版)
②『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』
実際に聴いてみましたが、やはり、①には、1:47付近に音揺れが見られます。
(音揺れの箇所が前述のシングル・バージョンの1:22と異なるのは、イントロ前にSEが付加されているからで、SEを除けば実質的に同一箇所になります。)
したがって、Apple Musicにおいては確実に②を選ぶ必要があります。
そこで、ここからは、Apple Musicでの①と②を見分け方についてお伝えしていきます。
まずはアルバムのジャケット(アートワーク)の違いを見ていきましょう。
以下は、②『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』のアルバム・ジャケットです。
①と②を見分けるポイントの一つ目、真ん中のストーンズのメンバーの写真に着目して下さい。
上記のように、見る角度によって絵柄が動くようになっていたオリジナルLP盤の仕様である3D写真(レンチキュラー)が用いられていれば、②の50周年記念スペシャル・エディションです。
それに対して、①は3Dではない普通の写真が使用されています。
また、写真の周りの青と白が混ざったアートワーク部分の青色の部分のトーンが、上記のように濃い青色であれば②であり、一方、①はその青色のアートワークの部分が薄い水色になっています。
写真やアートワークで見分けるのが不安だという方は、アルバムアートワークの下に記載されたクレジットを見ることでも判別可能で、これが①と②を見分けるためのポイントの2つ目です。
①のクレジット→「2013 ABKCO MUSIC & RECORDS, INC.」
②のクレジット→「2017 ABKCO MUSIC & RECORDS, INC.」
上記のように、クレジットに記載されたアルバムのリリース年が2017になっていたら②の50周年記念スペシャル・エディションである証拠です。
イントロにSEの無いシングル・バージョン(ステレオ音源)を最高の音質で聴く方法
ただし、上記の『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』に収録されているのは、イントロの前にSEが追加されているアルバム・バージョンになります。
そこで、SEの付加されていないシングル・バージョンを聴くとなると、上記のベスト・アルバムを選ばざるおえないのですが、これまでは、前述のように音揺れのある音源しか選択できない状況にありました。
ところが、2019年に、そのうちの一つ、『Through the Past, Darkly(Big Hits Vol.2)』が2019年最新リマスターにて再発売され、かつ、その際に音揺れの無いマスターテープが使用されたことで、シングル・バージョンのステレオ音源も最高音質で聴くことが可能となったのです。
ただし、この2019年最新リマスター盤は、CDのみの発売で、Apple Musicにラインナップされている『Through the Past, Darkly(Big Hits Vol.2)』には、従前の音揺れのあるバージョンが収録されていますので注意が必要です。
音揺れのない、モノ・バージョンの「シーズ・ア・レインボー」
一方、モノ・バージョンですが、ステレオ・バージョンとは違い元々のマスターテープにそもそも音揺れは存在しません。
こちらも、ステレオ同様、『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』に収録のモノ・バージョンが最高音質となります。
この『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』には、アルバムのステレオ・バージョンとモノ・バージョンの両方の音源が収録されています。
そして、前述した通り、ここで収録されたモノ・バージョンは前年に発売されたボックス・セット『ローリング・ストーンズ・イン・モノ』と同じ音源になります。
いずれにせよ、イントロにSEが付加されたアルバム・バージョンのモノラル音源を最高音質で聴きたいのであれば、この50周年記念スペシャル・エディションを選んでおけば問題ありません。
イントロにSEの無いシングル・バージョン(モノラル音源)を最高の音質で聴く方法
ただし、上記のモノ・バージョンは、前述のステレオ・バージョンと同様に、曲のイントロ部分の前にSEが付加されたアルバム・バージョンになってしまいます。
そこで、SEの付加されていないシングル・バージョン(モノラル録音)を最高音質で聴くために必要なアルバムは、
『シングル・コレクション(ザ・ロンドン・イヤーズ)(Singles Collection - The London Years)』
となります。
残念ながら、前述の『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』には、イントロの前にSEが付加されていないシングル・バージョンが(ボーナストラックも含めて)収録されていません。
しかし、上記の『シングル・コレクション(ザ・ロンドン・イヤーズ)(Singles Collection - The London Years)』は、タイトルが、『シングル・コレクション〜』となっていることからも明らかなように、シングル・バージョンの(=イントロの前にSEが付加されていない)「シーズ・ア・レインボー」が収録されています。
しかも、この『シングル・コレクション(ザ・ロンドン・イヤーズ)(Singles Collection - The London Years)』のマスタリング・エンジニアは、『サタニック・マジェスティーズ(50周年記念スペシャル・エディション)』と同様、ローリング・ストーンズをはじめ、数々のアーティストの作品のリマスタリングを手掛ける名エンジニア、ボブ・ラドウィッグです。
その素晴らしいリマスタリング技術は、作品を一聴しただけでわかります。
つまり、シングル・バージョン(モノラル録音)の「シーズ・ア・レインボー」は、『シングル・コレクション(ザ・ロンドン・イヤーズ)(Singles Collection - The London Years)』に収録されているものが、最高音質であるというのが結論となります。
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