「アイドル」は「プリキュア」である

真面目なエントリーが続いたので、今回はどうしてもアイドルの話をします。いやアイドルの話も大真面目だけれども。

もう半年前になるけど、見ててめちゃめちゃ心に刺さった、「あちこちオードリー」でのパンサー向井さんの言葉、「光で構えろ」。
腐り芸人セラピーの三銃士もそうだけど基本みんなお笑いに対して真摯で理想があって、だからこそ闇が出るんだろうなと思ったり。

いやホント、「光で構える」って大事だよっていつも思ってる。
闇落ちするのって実は簡単なんだよ、誰かのせいにすればいいだけだから(ちなみにこの「誰か」には自分も含まれる)。でも、自分も含め、誰かのせいにしたからって、なにか解決したり、救われたりするのか?って話。

(このエントリーはアグレッションの方向だけ書いているんだけど、PFスタディにはアグレッションの方向だけでなく表現型として「障害優位型」「自我防衛型」「要求固執型」という分類があり、出来事にとらわれてしまう「障害優位型」や責任の所在を追求しようとする「自我防衛型」より、解決を目指す方向の「要求固執型」の方が建設的なんじゃないか、というのも暗に含んでいます。あくまで個人的見解ですが。)

ワイドショーが好きじゃないのは、なんでも何かのせいにしようとするというか、とかく「誰が悪いのか」を追求しようとするところ。問題が大きいほど責任の所在はひとつじゃないし、当事者でなければわからない事情なんてたくさんあるはずなのに。そして、誰かのせいにしたって何も解決しないのに。
批判されてる人も、「じゃあお前がやってみろよ」って言いたくなるんじゃないかな。というか、これは個人の美学なんだけど、批判する前に、「自分だったらできるのかな」とか「自分の立場だったらどうかな」ってことは常に考えられる自分でいたいと思っている。

話がそれてしまった。そう、闇落ちの話。

文字にするととても冷たく感じられるから躊躇するけど、個人的には、「自責」ってある種の自己防衛だし、もっと言えば過度の自責は「思考停止」とすら思う。
なにかうまくいかないことがあったとき、それを「自分のせいだな」と考えることはもちろんあるし、当然それは悪いことじゃない。でも、その先に思考を進めないと、「自分が悪い」「自分はダメだ」「必要のない人間だ」みたいにただ自分を責めるループにハマってしまう。
反省とは次につなげるためにするものだ。そのためには自分を責めるだけの段階に留まってはいけない。自分のどこがよくなかったかを分析し、それを修正するにはどうしたらいいか、無理なく実現可能な現実的方法を考えないといけない。そこまでやってはじめて反省と言えるのだと思う。
それを方法を考えることなく、ただ「自分が悪い」「もっとがんばらなきゃ」と考えるのは、前述のワイドショーの論調とよく似ている。前々回のエントリーでも書いたけど、人生は短距離走ではなくマラソンなんだから、簡単にがんばってはいけない。がんばらなくてもできる方法を考えないといけない。
もっと言えば、これもさきのエントリーでも書いたけど、この世に「100%自分が悪い」ことなんてそうそうない。大抵はたまたまだったり、運が悪いとしかいいようのない状況だったりする。そういうことまで「自分のせい」ととらえると、もはや対策のしようがない。運を鍛えることはできないからね。

「あちこちオードリー」が昼間にやってる頃から見ているんだけど、何度もゲストとして出演しているアンミカさん。オードリーが引き出すアンミカさんの言葉は何度聞いてもおもしろいし、テレビ的にオチをつける必要があるからポジティブワードだけが特にフィーチャーされるけど(でも、それでいてアンミカさん自身の魅力も引き出されているからすごいとしか言いようがない)、昨年6月に話題になった記事を読めば、アンミカさんが生まれつきポジティブだったり、幸せのなかにずっといたから前向きであるわけじゃないことがよくわかる。

アンミカさんにとってのポジティブワード、ポジティブシンキングは、まさに自分を救うための言葉や思考であったわけだ。光しかみたことがない人の言葉ではない。闇を見ているからこその光だし、だからこそ説得力がある。
向井さんの「光で構えろ」を地で行っているわけだけど、つまり、光で構えることは、周囲を照らすためではなく、まず、自分を救うための手段なのだ。

さて、いつものとおり前置きがめちゃめちゃ長くなったんだけど、ここからが言いたかったこと。

「アイドル」=「プリキュア」説。

これ、実はずーっと前から思っていたことで、それこそ、最初に好きになったでんぱ組.incに対して、「プリキュアだよな」とずっと思っていた。

でんぱ組.incには「W.W.D」という有名な曲がある。メンバーそれぞれがアイドルになる前の苦悩を吐露するドキュメンタリーのような曲で、そこからみんなが前を向いて夢に向かって進んでいく、決して暗いだけじゃない名曲。
「マイナスからのスタート舐めんな!」って今タイプしただけで涙が滲んてしまった…
この曲、そしてでんぱ組.incが、どれだけたくさん、生きづらさを感じてギリギリ生きてた若者を救ったことだろうか。

それだけでもうプリキュアといって差し支えないんだけど、個人的には、でんぱ組.incの魅力の真骨頂は、明るいポジティブな曲にある。と思う。
古のヲタクなので例が古くて恐縮だが、例えば「STAR☆ットしちゃうぜ春だしね」の、「どっち向いて進んでもSmile-dayだしな」とか、「悲劇も笑いに変えちゃうような」とか。
「ギラメタスでんぱスターズ」とか「ファンファーレは僕らのために」とかも、闇を知っているからこそ、いっそうポジティブな詞に泣きそうになる。
これがただの能天気だと言う人がいたら「W.W.D」をエンドレスで聴かせる刑に処したい。
そう、暗くてつらい過去、そういう闇を知りながら、それでも光で構えて、明るい曲を元気に歌う、その姿をみて、悲しい曲以上に泣けてしまう人はきっと自分だけではなかったはずだ。

プリキュアの方は説明不要だと思うけど、もともとは普通の中学生(高校生も少数ながらいるらしい)が、さまざまなきっかけからプリキュアとなって悪の組織と戦うことになるお話。
よくわからない不思議な力を得て悪と戦う彼女たちだけど、もともとは普通の女子中学生だし、さまざまなことに傷つき、そして悩む。ときには敗北も経験する。そのなかで成長し、傷ついても立ち上がり、前を向き、最終的に仲間と力を合わせて悪を倒す。それがプリキュアだ。これもタイプしながら泣けてきた。
そう、プリキュアも、最初からずっと強かったり、光のなかにいたりしたわけじゃなくて、傷つき、絶望し、闇に落ちそうになりながら、それでも踏みとどまり、光に向かって進んでいくのだ。
でんぱ組.incといっしょじゃないか!

そして、いろんなアイドルを見ている今ならわかる。これはでんぱ組.incに限ったことではない。
アイドルのみなさんは、きっと自分の夢のためにアイドルになられたんだろうだけど、ずっと順風満帆なんて人はひとりもいなくて、きっと、うまくいかなくて傷ついたり、心ない言葉に落ち込んだり、理不尽なことに見舞われて嫌になったり、そんな経験を繰り返して、それでも前を向いて、笑顔を見せてくれているんじゃないかと思う。
悔しさやもどかしさで涙する夜もたくさんあるはずなのに、それでも、朝には笑顔の自撮りをあげてくれて、ヲタクたちを幸せにしてくれている。その1枚の自撮りを撮るのにどれだけの時間と労力、精神力を費やしているか、ヲタクには想像もつかない。ダンスや歌のレッスン、筋トレ、美容にかかる時間と費用も、ライブのチケットやグッズを売るためにどれだけがんばっているかも、うまくいかなくてどれだけ悔しい思いをしているかも、ヲタクは知る由もない。
闇を知り、つらい思いをしながらも、それでも前を向き、光で構えて、(ヲタクの)みんなを救ってくれている。これがプリキュアでなくて何なんだ。

もうひとつ、アイドルがプリキュアだと思う点。
それは、素顔を知られてはいけない、という点だ。
当たり前だけど、これは文字通りの素顔、という意味ではなくて、アイドルとしてではない、素の自分や私生活を知られてはいけない、ということ。
「全員宇宙から来ました」みたいなコンセプチュアルなグループでなくても、アイドルはみんな、大なり小なりセルフプロデュースしている。最近は内面に関して素に近い部分を出してくれているのかな、というアイドルも多い気がするけど、それでも、闇の部分をすべて無加工で素材のまま提供しちゃうゴッドチャイルドなアイドルはいないだろう。
そして、光が当たるのは当然アイドルとしての自分の方。だから、自分が敬愛してやまない推したちも、きっと住まいの近くではほとんど誰にも気づかれずに一般人として生活している。そこには光は当たらない。
プリキュアも、変身していないときは原則プリキュアであることを周囲に知られてはならないことになっているらしい。
ふだんは一般人として生活し、ヲタクには素の自分を知られてはならず、ステージの上で変身してアイドルとして輝く。…ここもまさにプリキュア!

それ以外にも、グループアイドルで言えば、傷ついた仲間を助けたり助けられたりしながら、チームのみんなでいっしょに進んでいくところとか、メンバーの衣装に統一感があることとか、メンバーカラーが決まっているところとかもプリキュアっぽい。ファン(プリキュアの場合は幼児、アイドルの場合は…大きいお友だち?)がグッズを買ってあこがれの対象になりきれるところも似てるっちゃ似てる…?

twitterとかで、推しのみなさんがプリキュアに憧れてるっていうつぶやきを何度かみて、そのたびに思っていたので、長々と書いてしまいました。

みなさんこそプリキュアです。いつも助けていただいています。
本当にありがとうございます。

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