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本にまつわるエトセトラ

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本を読むのも買うのも大好きなつむぐがゴリ押しする小説の紹介などなど。
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記事一覧

8年間本気で続けた読書記録をやめてしまった件

4年前、このような記事を書いた。 読書記録管理サイト『読書メーター』に投稿した感想を振り…

都村つむぐ
1か月前
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所持金が500円になるまで楽しんだ私の文フリレポート@京都

回してください、と隣に並んでいる女性から差し出されたパンフレットを受け取る。東京での盛況…

都村つむぐ
7か月前
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お金のない書店員がたくさん読むためにしていること

本にだけはお金を惜しまない。社会人1年目から守り続けてきたマイルールを、書店員になって覆…

都村つむぐ
9か月前
87

書店員、初めて選書してもらう

通り過ぎる瞬間、思わず一冊の背表紙に惹かれるように、ひとつのツイートが目に留まった。 CA…

都村つむぐ
11か月前
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いつもこころに「ぼちぼちイズム」を

お守りのようなことばがある。 一生懸命やったけど、報われなかったとき。めまぐるしい日常に…

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『くもをさがす』で気づく、自分の身体を愛する自由は私のものだ

「なにが原因なん?」 メニエール病を打ち明ける度、必ず降りかかってくる問いは、静かに確か…

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わたしたちは詩人、まちは言葉の『彗星交叉点』

歌人ならではの言葉に対する感度の高さ、繊細かつ的確に表現するワードセンス、読む者の世界の見え方を変えるひとさじのユーモア。穂村弘さんのエッセイが大好きである。 『彗星交叉点』(筑摩書房)を本屋で見つけた瞬間、躊躇なく読書計画を解体し、目当ての本そっちのけで購入。帰りの電車で早速読みふけった。 本書でも、穂村さんの語感の鋭さは爆発。 そう、自慢って”ぶしゅーっ”なのだ。その話題になったら最後、あらがいようも、とめどもない。ひらがななのもいい。おなかみたいな、たまごアイスみ

『鉄道小説』という切符を手に、人とまちの記憶をめぐる旅へ

同じ駅、同じホームで毎日電車を待って、もう12年が経つ。 その間に大学生になって、社会人に…

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ブックマークの時代に『スピン』を愛したっていいじゃないか

栞紐を見れば、その本がどんなふうに読まれたかがわかる。 先がボロボロになるほど何度も読み…

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私たちが本を読む理由がこの一冊にある。

「で、それが弊社でなんの役に立つんですか?」 ”学生時代に頑張ったことと”として、19世紀…

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私はおいしいごはんも食べたいし、「おいしいね」って言いたいし、言われたい

くつくつと煮える鍋から、まだ赤みの透ける肉を引き上げる。とかした卵をたっぷり絡めて、一口…

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私のIときみのきみと

私の中には2人の私がいる。「そうですね」「すみません」「なるほど」と主語のない同意でやり…

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飛べ、飛べ!他の誰でもない自分の目で世界を見つめろ!

「伊藤たかみさんとの対談イベントに参加しない?」 高校1年の冬、誘ってくれたのが現国の先…

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愛があふれてレビューにも感想文にもならなかったけれど、人生を揺さぶるカッコいいコンビがいることを知ってほしい

明転とともに男が舞台に飛び出してくる。続いてもうひとりゆったりと現れ目出し帽を脱ぎ捨てる。2019年秋、椅子だけの簡素なセットのライブハウスはコントの世界へと変容した。2人の間に流れた緊張感は客席をも吞み込み、渾然一体と化す。幕が開けるその直前まで、ガラス越しに眺めるような気持ちで座っていた。不意にステージの男と目が合う。見えない壁は一瞬にして砕け散る。彼らは自分たちの信じる笑いを武器に、全身全霊で勝負に来ていた。気迫に痺れたその刹那、容赦なく笑いの弾丸に撃ち抜かれる。 当