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本にまつわるエトセトラ

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本を読むのも買うのも大好きなつむぐがゴリ押しする小説の紹介などなど。
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記事一覧

所持金が500円になるまで楽しんだ私の文フリレポート@京都

回してください、と隣に並んでいる女性から差し出されたパンフレットを受け取る。東京での盛況…

都村つむぐ
3か月前
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お金のない書店員がたくさん読むためにしていること

本にだけはお金を惜しまない。社会人1年目から守り続けてきたマイルールを、書店員になって覆…

都村つむぐ
5か月前
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書店員、初めて選書してもらう

通り過ぎる瞬間、思わず一冊の背表紙に惹かれるように、ひとつのツイートが目に留まった。 CA…

都村つむぐ
6か月前
34

いつもこころに「ぼちぼちイズム」を

お守りのようなことばがある。 一生懸命やったけど、報われなかったとき。めまぐるしい日常に…

都村つむぐ
8か月前
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『くもをさがす』で気づく、自分の身体を愛する自由は私のものだ

「なにが原因なん?」 メニエール病を打ち明ける度、必ず降りかかってくる問いは、静かに確か…

都村つむぐ
8か月前
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わたしたちは詩人、まちは言葉の『彗星交叉点』

歌人ならではの言葉に対する感度の高さ、繊細かつ的確に表現するワードセンス、読む者の世界の…

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『鉄道小説』という切符を手に、人とまちの記憶をめぐる旅へ

同じ駅、同じホームで毎日電車を待って、もう12年が経つ。 その間に大学生になって、社会人になって、職場もいくつか転々としたけれど、私の町には路線が1本しかないので、ホームはずっと変わらない。 たいがい満員電車である。順番抜かしも、リュックの背負いっぱなしも、歩きスマホも、座り込みも、ボックス席の酒宴も、大声の通話も、開閉時の扉前占拠も、荷物の場所取りも日常茶飯事。 毎日乗っていれば、それどうなのと問いたくなる行動は必ず目に入ってくる。とはいえ、電車を使わねば生活は成り立

ブックマークの時代に『スピン』を愛したっていいじゃないか

栞紐を見れば、その本がどんなふうに読まれたかがわかる。 先がボロボロになるほど何度も読み…

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私たちが本を読む理由がこの一冊にある。

「で、それが弊社でなんの役に立つんですか?」 ”学生時代に頑張ったことと”として、19世紀…

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私はおいしいごはんも食べたいし、「おいしいね」って言いたいし、言われたい

くつくつと煮える鍋から、まだ赤みの透ける肉を引き上げる。とかした卵をたっぷり絡めて、一口…

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私のIときみのきみと

私の中には2人の私がいる。「そうですね」「すみません」「なるほど」と主語のない同意でやり…

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飛べ、飛べ!他の誰でもない自分の目で世界を見つめろ!

「伊藤たかみさんとの対談イベントに参加しない?」 高校1年の冬、誘ってくれたのが現国の先…

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愛があふれてレビューにも感想文にもならなかったけれど、人生を揺さぶるカッコいいコ…

明転とともに男が舞台に飛び出してくる。続いてもうひとりゆったりと現れ目出し帽を脱ぎ捨てる…

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5年後、10年後で待つ読者にも届けたい。本屋大賞2022全ノミネート作レビュー

本屋大賞ノミネート10作ぜんぶ読んでみよう。 これまでにも思い立ったことはあるけれど、週に1冊読み終えるのがやっとの私。間に合わないかなあ、間に合わないよなあと、本屋の棚を前に逡巡してはあきらめてきた。でも人生で一度くらい”今一番アツい”という謳い文句に身を委ね、存分に物語世界に耽ってもいいじゃないか。それに、毎年盛り上がる順位予想に自分も参加してみたい。ほんのちょっぴり無邪気な憧れもあった。 1冊読み終えるごとに、駅前の本屋で1冊買い足して帰る。その生活を続けるうち、ふ