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乳がん治療 16-入院中のこと (手術翌日〜退院)




◾️手術翌日 胸は鉄板の如し

術後6時間で水分摂取可、身体を拭いてもらいカチコチだった身体はほぐれ、血栓予防装置、導尿ライン、左の点滴用留置針も外れるが、ドレーンバッグの排液は赤く、量が減らないと退院時に持ち帰りになると聞きビビる。

胸は鉄板が入ったかの様に重い圧迫感と痛み、全体に赤く切除跡に血の塊、腋の下からドレーンチューブが生えるが如くピョンと飛び出し、この痛みは左手iPhoneで調べた「侵害受容性疼痛」か? 初めての感覚に戸惑う。

手術中の気道確保で喉はガラガラ、病室は乾燥、咳が出始め用意しておいたノド飴が役に立つ。微熱はあるが歩行練習は問題なし。
午前中ガンについてのDVD視聴、午後リンパ浮腫のレクチャー。

腕に力は入らないが、廊下の配膳車から食事トレーを自分のベッドに運ぶと同室の3人が驚く。大丈夫、そんなヤワじゃない、お嬢じゃないもん。

お見舞い1号


◾️術後2日目 鉄板胸はさらに熱く

【鉄板胸】
鉄板胸は前日より熱を持ち、さらに重苦しくココロまで圧迫、痛む。
この分厚い鉄板はいつ誰が入れたのか・・・

ドレーンが出ている箇所は身体の向きや何かの拍子にビリッと痛み、ベッドから起き上がる時は、胸に力がかからない様に左手で柵を掴み エイヤと体を引っ張り上げる。手術は右だから左腕が活躍。

【シャワー許可】
シャワー時のドレーンバッグは濡れても良いネット製に入れ替えるが、入れ損ない体からボトルがブラ〜ンとぶら下がる事が入院中に2回、冷や汗モノ。

乳首の上が横に長く固く、ドレーンチューブはここに潜むと確信。鏡で正面から見ると創部は14cm位だろうか、胸全体が大きく赤紫色で、その酷い有様にしばし呆然。 ≡コンナニナッチャッタ・・・≡

【リンパ浮腫レクチャー】
リンパ節切除で、体の老廃物を運ぶリンパの流れが滞留、血管外の皮下組織に過剰に体液が溜まる状態が ”リンパ浮腫”。

発症の有無やその時期は予測不能、進行すると完治は困難、重症化すると蜂窩織を引き起こす、と聞き捨てならない。
(後に、リンパ管静脈吻合術(LVA)が あると知り手術を受ける)

注射、点滴、血圧測定は、基本、手術側と反対の左。重い物は持たない、腕に荷物をかけない、圧迫しない、怪我に気をつける、え?蚊に刺されるな? リュックも避け、肩掛けバッグは反対側、と注意は果てしない。

海も65Lザックでの山登りも諦めざる得ないのかと落胆・・・ 

空に陽は昇るけどこの先ココロにそれは昇るのか?!


◾️術後3日目 入院生活の日常

[ルーティン] 
定刻の検温、食事量、お通じの回数をチェック用紙に記入。
回診は創部、ドレーンの排液量、体調の変化有無等をチェック

[リハビリ体操]
リハビリ体操は任意参加、同じ病衣で頭上に伸ばした手を合わせる集団はまるでどこかの宗教団体、笑えるけど何だか哀しい

[シャワー] 利用時刻をボードに記入、持ち時間20分。自分の前に予約が入っていなければフライングスタート

[コインランドリー] 使用時にボードに記入、占領時間に制限あり

[病院食] トレーの片側は温かい物、一方は冷たい物が乗り、美味しく盛り付けも丁寧。見えない所で栄養管理している人達に感謝

[デイルーム、面会・お見舞い]
面会はデイルームと呼ばれるオープンスペースか病室で。 
デイルームは24時間利用可、PC持参で仕事、朝はドリップコーヒー、夜中のカモミールティータイムはここで

お見舞いは、痛みや諸々をしばし忘れさせてくれ歓迎 welcome!

[病室]
同室の2名退院、居残り2人で夜更けまでトークショー、女ってオメデタイ


「退院後の生活について」レクチャーにため息が出る。
患部を保冷剤を借りて冷やすと楽。

ヘンテコなお見舞い

◾️術後4日目 鬼が笑う

処方の咳止め効かず、鉄板胸とのWパンチで ぐるじい。

ドレーンの減りが穏やかなのは年齢と代謝の悪さか、ドレーンバッグを持ち帰れば早く退院可と聞くが、黙っていても栄養管理されたご飯が出てくる生活は捨てがたい。


抗がん剤治療は1ヶ月半後に開始。息子はその前日開催の沖縄のイベント参加を決めた。イイなあと・・・窓から見える羽田発着の飛行機を眺めがら何気にググれば失効寸前のマイレージ発見、これは有効活用せねば! 
普段なら無視拒絶却下嫌悪感丸出し確実だけど、この状況、サイゴカモ・・・と詰め寄ってみようか? 主治医は疲れなければOK、自己判断でと笑う。

早速シミュレーション、土曜日に飛んで、日曜にイベント応援、帰りは最終便で帰宅、翌月曜日の朝イチで抗がん剤治療へ。
 ”疲れ” より ”楽しさ”を取ろう。久々の企画にココロ踊るが、まだ退院すらしていないのだから、来年の話など、鬼が笑う

◾️術後5日目 X’masはまだ先だけど

がん宣告の日に引き合わせた友人2人がお見舞いに来て、デイルームであれこれ広げる。生ハム、チーズ、牡蠣フライ、コロッケ、胡桃・イチジクのパン・・・そしてポンっとノンアルのシャンパン擬きを開ける。

通りがかりの回診の主治医は察して笑ってくれたが、後で仲良くなるガン友は、あの素行の悪い人は一体何、どの部屋?と噂していたと。 ≡知ラヌガ仏≡

仕事で問題発生、今で言うテレワークは現場じゃないと片付かない問題あり、ドレーンバック持参で早く退院?と思うも、イヤ待てよ、この場に及んで諸々問題を突きつけられている仕事 ▼¿†⊥☠️・・・自分の身体を優先、仕事は後回しにしようと打ち消す。


◾️術後6日目 背中に違和感

朝の回診で、傷は大分くっついてる、これ(排液)が減ったら帰りましょうと笑顔の主治医。入院待ちが列を成す病院、経過順調ならさっさとベッドを明け渡すがbest。が、念力不足、ドレーンバッグの中身はなかなか減らず。

右背中の何やらボワ〜とした違和感は、手術時の洗浄水が貯まっているのだろうと主治医。術後6日目にして気付くが 実は最初からあったに違いない。
”リンパ浮腫” じゃなかったが、この5文字が頭から離れない。

午後、思いがけず両親がやってきてビックリ。 歩行に支障がある父と数年前やはり脊椎を痛めた母は共に高齢。父はベッドサイドでウトウト、出来の悪い娘でゴメンナサイ

病院処方の咳止めは引き続き服用、昨日友人が持ってきたヴィックスヴェポラップのおかげで 呼吸が少し楽になる。


◾️術後7日目 シビレ

夜中目が覚め、眠らない首都高と都心の夜景が広がる廊下のクリスマスコーナーで、珈琲、フランスパンと生ハムムシャムシャ、治験の冊子を読みPCチェック。

昨日からの右腕内側のピリピリ痺れは、主治医曰く" 感覚が戻ってきたのだろう”と。それにしても嫌なシビレにため息。

夕方海の仲間が来る。
お見舞は何が良い?に、ご飯のお供と答えると、立派な辛子明太子をお土産、違う、お見舞いに持ってきてくれる。
2人はベッドサイドで、この数日で集まったお見舞いの品をつまみに、不届き者が置いていったアルコールを口にし、やがて闇夜に溶ける。
イイな、これからどこかで美味しいお酒を楽しむに違いない・・・uuu

クリスマスコーナーで夜更かし


◾️術後8日目 リハビリがキツイ 

1階のコンビニを覗きに行くと先に退院したガン友に会う。
背中がブヨンとしていたので、針を刺して溜まった水を抜いてきたけど、たいした量じゃなかったと。ん?自分もこれか? 

患部の赤みは治まりつつあり創部も順調と、週明けの退院が決まる。次の外来診察時に、採取したがん細胞の病理診断結果がわかる。

ぶ厚い鉄板胸の違和感は変わらず、腋の下のつっぱりが痛く、背中に重だるさ、右腕内側にシビレが出てからリハビリが厳しく、ドレーンバッグの中身もなかなか減らない。

何でも自分でしなければならない自宅へ帰る・・・現実は目の前だ。

イイ香り❤️


◾️ドレーン外し退院  

11日間の入院に終わりを告げる朝、当直医判断でドレーン抜去。
患部を消毒し先の丸いピンセットでドレーンを止めてある糸を引っ張り、ハサミでプチンと切るがそう痛くない。
次にその箇所をガーゼで押さえながらドレーンチューブを抜くが、 体内のチューブが 左から右へにょろ〜んと動き、思わず うわぁ にょろ〜んって動いてると口に出る。

その長さはせいぜい20cm足らずだが、しばらくにょろ〜ん感が残る。
残っている糸を除き傷口に大きなガーゼを当てテープで押さえ処置完了。

身軽になるが、これまで排出されていた排液がうまく体内に吸収されるか?心配は尽きず。

シャンパン擬きをお見舞いに持って来た友人のお迎えで、もう1人を誘ってお礼のイタリアンランチして帰宅する。

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ヴィックスヴェポラップ
これは常備薬にしている





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