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枝垂れに祈る

千年の時を超えて春を告げる大きな櫻
しだれ咲く薄紅の花の滝
穏やかな里の春を告げる
里の春は美しい

人よりはるかに長く生き続ける命
静かなたたずまいに秘められた強い命の力


人の世の移り変わりを見てきた大樹
何回の大震災をみた?
何回の疫禍をみた?
何回の戦をみた?


大樹が芽吹きし時
はるか京の都では平安の琴のしらべ
人の世の移り変わりの激しさよ
人の命のなんと儚く短いことよ

蠟燭の灯にも似た
その短い生で何を望む何を苦しむ
生きる苦しみ
老いる苦しみ
病の苦しみ
死にゆく苦しみ
誰も逃げることが叶わない

ならばせめて春を楽しめ
花を愛でよ
一瞬の平穏にその心をゆだねよ

花と空をふり仰げ
全身にしだれる気を受けよ
春の風の安らぎに心を解け
気だるい眠気に目を閉じよ
大地と老櫻に抱かれよ

大樹のもとに集まりし人々よ
老櫻に呼ばれし人々よ
次の春まで幸いであれ
穏やかで健やかであれ

この国が安寧であれ





お読みくださりありがとうございます。これからも私独自の言葉を紡いでいきますので、見守ってくださると嬉しいです。 サポートでいただいたお金で花を買って、心の栄養補給をします。