二次会デミグラスソース#毎週ショートショートnote【408字】

ここはどこだ。
会社の飲み会に誘われて居酒屋に行った。
志賀が田崎さんとばかり話してて、手持ち無沙汰で酒を飲んだ。
トイレの前で志賀が田崎さんの手を無遠慮に触っていた。
目の前が赤くなる程に腹が立って。
その後は思い出せない。
「お水飲めますか?」
視界に白い指が映り込む。
指輪に反射した光が目を焼く。指輪?
二次会は、と俺は絞り出して顔をあげる。
彼女は曖昧な笑みを浮かべた。
どこにいるのか分かった。
よく来る24時間営業のファミレス。
ここのデミグラスソースが好きだ。
窓の外はネオンが輝くホテル街。
なんて幸運。今日は田崎さんか。
「「あの」」
どうぞ、と促すと真横の窓硝子が強くノックされた。
志賀だ。すごい剣幕でこちらを睨んでいる。
「大丈夫みたいですし、私先に帰りますね」
田崎さんの声が弾む。そそくさと田崎さんは立ち上がって行ってしまう。
遠ざかる背を見送り、俺はメニュー表を開いた。
さて、デミグラスソースたっぷりのオムライスでも食べよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?