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しょんべん臭えだろ、悪りぃな

私の弟が、中学生くらいの時のことだったと思う。

友だちの家に遊びに行ったら、弟の友だちに、

「そのへん、しょんべん臭えだろ?悪ぃな。ばあちゃんなんだ」

と、言われたことがあった。

私はこの話を、母から聞いたように思う。

先日弟に、このエピソードを覚えているか尋ねてみると、覚えてはいないが、たぶん、認知症の進んだばあちゃんがいた⭐︎⭐︎君の家だろうと、当時よく一緒に遊んでいた友人の名前があがった。

この数十年の間には、人々の暮らしぶりも、社会の在り方や考え方も大きく変化してきた。

だから、何が良くて、何が悪いかなんて一概には言えないし、立場や環境が変われば、視点も感じ方も変わる。

ただ、今、ふとこのエピソードを思い出した時、思春期を迎えた少年が、遊びにきた友だちに、認知症の祖母のネガティブな要素を、こんな風にサラッと言えるのって、なんかいいなと思うのだ。

これから世の中は、さらに大幅に変化していきそうなので、未来の介護がどんな様子なのか皆目見当もつかないが、人々の心の片隅に、こうした大らかさが残っていけたら素敵だなと思う。

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