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老父と娘の"ちょっといい時間"

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認知症の実父と娘の"ちょっといい時間"を綴ったエッセイ。介護の中には、幸せがいっぱいでした。
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2022年2月の記事一覧

まさかの「フィギュア」の意味

まさかの「フィギュア」の意味

朝からずっとついたままのテレビから、オリンピック中継が続いている。

認知症の父は、日増しに、うとうとしながら過ごす時間が多くなってきている。毎日のように、新聞を読みながら寝てしまうし、朝食を食べている時も、一つ食べ終わると、そのまま、次には手をつけずに寝てしまうことも珍しくない。そんな時は、思わず、お腹の中で、クスッと笑ってしまう。

朝食を食べながら眠る姿は赤ん坊のようだが、一日中、うとうとし

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お父さん、何歳?

お父さん、何歳?

以前、住んでいた実家は、終戦の翌年に建てられた超ボロい借家だった。

おかげで、ネズミとは年中仲良しで、その辺に食べ物を出したまま寝てしまおうものなら、必ず、翌日にはかじられてしまっていたし、本棚の裏側には、いつでも、ネズミのフンが落ちていた。

節分の日には、母に「家で豆をまくとネズミが出るから、豆は外でまきなさい」と言われ、子ども心に、どことなく「鬼は外、福は内」の言葉に矛盾してないか?と感じ

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