安里紬
短編小説「私の日」4話をまとめました。 恋愛小説ですが、現代ファンタジーとも言える作品です。 切なくて、泣ける。 そんなお話を書きました。
noteを始めて、ご挨拶代わりに短編小説「私の日」を載せてみました。 私は小説を読むのも書くのも、大好きです。 漫画も読みます。 絵は描けないので、漫画は描きません。 恋愛小説が多いですが、どちらかと言うと、人と人が出逢うことで生まれる変化や、人の成長を描くことを得意としています。 あとは、必ず感動してもらえる作品を心がけています。 人生って、幸せで上手くいくことばかりじゃなくて、辛いこと、悩むこと、悲しいこと、悔しいこと、たくさんの壁に行く手を遮られることの方が多いと
何の変哲もない小さな公園は、俺と雪乃の家の中間にあり、学生時代はベンチに座って、長々と話をしたし、初めてキスをした想い出の場所でもある。 電車に乗って、流れる雪景色を眺める。窓ガラスに映る雪乃も、俺と同じように何とも言えない表情で外を真っ直ぐ見ていた。 そうして、たどり着いた公園は、クラシックなポールライトがぼんやりと橙色に辺りを照らしているだけで、閑散としていた。寒くて雪が降っている中、日付が変わるほどの時間に公園にいる人間は俺くらいだろう。 いつも座っていた
カフェを出る頃には辺りは暗くなっていて、街灯が灯り、店先にある照明も、あちらこちらに飾られた電飾も活躍し始めている。 「イルミネーションも見るんだったか?」 「うん! この辺のを歩きながらでいいから」 まだあのパンケーキで腹一杯で、居酒屋に行っても何も入る気がしない。 昼間よりも大きめの雪が、傘に当たる度にカサリカサリと音がする。街路樹の根元や歩道の隅には、薄ら積もり始めていた。 この調子だと雪乃の望み通り、この雪は積もって銀世界を作り上げるだろう。そうした
土曜日の電車にしては空いていて、二人並んで座ることが出来た。雪が降り始めたことで、外出を控える人が意外といるのかもしれない。 二駅で電車を降り、俺達が昔から通う映画館に着いた。 今やっている映画の中から、雪乃は恋愛物を選び、俺は大人しくチケットを買って、館内へと進む。 雪乃も俺も、映画を観る時は飲食物は買わない。静かに観たいから、飲食など言語道断なのだ。これは出逢ってすぐに分かった共通の認識だった。 今日も例に漏れず、何も買わずに指定席へと座った。俺の左隣が雪乃。
────ポン、ピンポン 「うっ、いってぇ」 頭にガンと響く玄関のチャイムに起こされて、枕元に置いてあった携帯で時間を見る。 「十時か」 土曜日の朝。 昨夜は飲み過ぎたらしい。小さいはずのチャイムの音すら頭に響くとは、少々許容量を超えすぎた。 『ピンポン』 「はいはい」 温かくて心地いい布団から身体を起こすと、その途端、体温が急速に奪われていく。ぶるりと身体を震わせ、パジャマの上からその辺に置きっぱなしになっていたパーカーを羽織って、玄関
安里紬と申します。 物語を紡ぐことをお仕事にしていますが、表の顔はただの事務職です。 noteの存在は知っていましたが、見たことも使ったこともありません。 なのに、衝動的に登録するという事態になりました。 Webで発表している小説を載せたり、日々の独り言を載せたりできたら、と思っていますが、初めてのことだらけで上手く活用できるのか……。 かなり不安ですが、どうぞよろしくお願いいたします! Aiartで創ったイラストを使って、物語を書くというトレーニングもしております✩.*