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『絶対彼氏』を16年ぶりに見た感想

TVerで配信されている過去のドラマ一覧をなんとなく見ていたら、高校生の時に見た『絶対彼氏』が上がっていたので久しぶりに見てみました。
絶対彼氏が放送されていたのは2008年4月~6月なので16年ぶりに見たことになります。

見たことのない人のために簡単にあらすじをまとめると、パティシエを目指しながらも製菓会社『ASAMOTO』の派遣社員として働く井沢利衣子(相武紗季)が理想の恋人天城ナイト(速水もこみち)を購入し、その後恋愛やパティシエの夢を追っていく物語です。

話を全て見たうえでの感想を一旦箇条書きにしようと思います。
・男も女もギャルが多い
・水嶋ヒロの服装、髪型が平成中期の流行りそのもの
・スマホではなくガラケーを使用している
・女→男へのセクハラが容認されていた?時代
・お台場の商業施設が現在と変わっていない
・社員旅行がまだある時代

この中でも掘り下げて語りたい部分をここから綴っていきます。

まず、「スマホではなくガラケーを使用している」について2008年のドラマなのでスマホが普及しだす3,4年前になることを考えれば当然です。
ただ、気になったのが電話でのやり取りがかなり多いということでした。
今のドラマや映画だと通話よりもLINEなどのメッセンジャーアプリでのやり取りになるような気がします。
当時のガラケーもメールがあったので、文章でのやり取りはありましたし、私も通話はほとんどありませんでした。
ここで思うのは、LINEとメールのスピード感の違いではないかと思います。
文面でのやり取りではあるものの、メールと比較し、スピード感がLINEの方が速いのと、前のやり取りも同じ画面内で見れる部分がドラマ的には使い安のでしょう。
メールだとそのやり取りの前が見えないのでガラケーでのコミュニケーションは電話にならざるを得ないのではないかと思います。

次に「女→男へのセクハラが容認されていた?時代」ですが、ナイトが梨衣子が住むアパートの大家さんである中年の女性にセクハラじみたことをされるシーンが結構出てきます。
例えば、辛い物を食べさせてナイトを裸にしようとしたり、ナイトの指を咥えようとするシーンです。
一緒に見ていた妻も「これセクハラじゃない?ヤバいよね?」と言っていたのでセクハラだと考える感覚は間違っていないと思います。
よく男→女のセクハラばかりニュースになっている気がしますが、女→男のセクハラもこの当時よりはしっかり監視されているのが今の世の中なのかなと思いました。

さて、次は「お台場の商業施設が今と一緒」についてです。
今と一緒というと少し誤っていますね。
当時存在していたヴィーナス・フォートは営業終了し、今はイマーシブ・フォートに変わっていました。

このドラマで映ったお台場の場所はデックス東京ビーチですが、周辺の景色も含め、ぱっと見今と変わっていませんでした。
2,3ヵ月前にお台場のフジテレビに行きましたが、あまりの人の少なさに驚愕した覚えがあります。
子どもの頃ゆりかもめに乗ってフジテレビに行き、田舎者の少年である私は感動していたのですが、あれから20年近くが経過し、当時と全く姿が変わらず老朽化した建物とテレビ業界の衰退と同じ道を辿るかのように減った来場客を見てなんだか切ない気持ちになったことを思い出しました。
2008年当時から変化していないこの状況がテレビ業界の衰退あるいはテレビという媒体が時代遅れになっていることを示しているのではないかなと16年前のドラマを見て感じた次第です。

最後にこのドラマをすべて見て感じたことをまとめます。
このドラマは梨衣子の理想の恋人がロボットになり、愛をささげぬくという所からスタートしています。
最初はロボットであるナイトが話していてもそれはプログラムであり、人間の感情は揺さぶれないというものでしたが、ナイトには自我が芽生え、プログラム外の行動をとり、梨衣子の気持ちにも変化が生じるというものです。
この物語の後半には上司の浅元創志(水嶋ヒロ)からパリにパティシエの修行に行くことと創志が梨衣子を好きであることを告げられますが、それを却下してまでナイトのそばにいたいというシーンがあります。
よく言えば自我が芽生えたロボットが愛をささげぬき、人間に心にも届いたというものです。
しかし、梨衣子が好きという前提があるので自我が芽生え、行動がプログラム外になっても自我が芽生えたことはあまり関係ありません。

ここで感じたのが、ナイトとの恋愛は自分が一切傷つかない恋愛です。
梨衣子は散々ナイトに文句を言ってもナイトは梨衣子が一番という部分は揺るぎませんでした。
一方、梨衣子も最後まで傷つきたくないという自分の殻を破れなかったようにも見えました。
この物語と似た現象だと思ったのが、今流行りの推し活です。
あるいは少しまえに二次元は裏切らないという言葉も目にしたことがありますが、いわゆる目の前の人間との恋愛を避ける流れです。
この物語と推し活の最大の違いは自分が受動的か能動的かということだけです。
現在、傷つくリスクを回避し、人間との恋愛よりも推し活を行う人は能動的に活動しています。
このドラマの場合、ロボットから愛を伝えられるので受動的なものになります。
恋愛の対象は異性の人間だけという時代から性別は関係ないという時代に変わりつつあります。
そのうち、恋愛対象は人間だけではないという時代も迫ってくるような気がします。
また、恋人型ロボットというものも技術的に実現可能な日はそこまで遠くない気がしており、そのうち人間同士の恋愛、結婚が一気に減るのではないかと心配になってしまう話でした。





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