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7月のあづあづ読書記録。

 先月のまとめで、API制限で読み込み出来ないとか、Twitterどうなるのかね〜などと言っていたら、まさかの「制限は直ったがTwitterという名前がなくなる」という状況なわけですが皆さまお元気ですか? まあ一生Twitterて呼び続けると思いますが……そんな7月の読書関係まとめです。 


【祝】三上延『百鬼園事件帖』単行本化!

 7月の読書ではないんですが、舞い込んできた嬉しいお知らせなのでこちらで。昭和初期を舞台に、百間内田榮造先生を主人公にした連作短編!の単行本がついに出ますよ〜!!

 2023年9月1日発売。こちらの作品は、これまで複数の電子書籍オンリー文芸雑誌に、数年に一度のペースで掲載されていたもので……なかなか巡り会えなかったり、一作目と二作目の掲載されていた雑誌が既に無くなっていたりして……漱石先生の背広にまつわるお話らしい第一作目「背広」を読み逃した私は読みたくて悶えたり、幸いにも読めた「竹杖」で配信即読み興奮して寝付けなくなったりしていたのです。

 ↑その時の記事がこちら。いや〜〜単行本化により読めてなかった「背広」も読めるし、もう一本書き下ろしのお話も収録される!素晴らしい!予約しました!!
 は〜、読むのが楽しみです。嬉しい……。

YOG『文豪探偵 芥川龍之介は推理する』

 これも私にとっては百閒先生関係。芥川龍之介が主人公として探偵役をする漫画です。第二話のゲストキャラが「百閒氏」なんですよ〜〜ふふふ。態度が大きくて目つきの鋭い百閒氏、いいですね……キャラデザがツボすぎて動揺しました。まだしてる。

 WEB連載の初見では動揺しすぎて推理が頭に入ってなかったんですが(100%自分のせいです)、紙コミックスでまとめて読むと、しっかり話がわかって面白かったです。当たり前のこと言ってますね。続きも楽しみ。

 WEB連載はこちら。一巻の続きにあたる話を読んで、菊池寛最高〜〜!!となりました。

須賀敦子『遠い朝の本たち』

 もう何度も読んでいるのに、ふと「あっ、あれ読みたい……」となる本ってありますよね。これもその一冊で、古本屋の棚で見かけた途端に「あっ読みたい……」となり、家のどこかにあるはずだし、なんなら電子書籍でも持ってるのにまた改めて増やしてしまいました。最近どんどん「いま!これを!読みたい!」という衝動を我慢しなくなってきている。

 数年ぶりに再読したわけですが、読み始めた途端に、著者の子供の頃の阪神間の景色が自分のことのように蘇って、そうそう、こういう世界だった……と、大部分の内容を忘れていたわりにすんなりと馴染めました。人の語る子供の頃の話、それも読書などの「原体験」を読むのが好きなんですよね。もしかしたらこの本がきっかけで好きになったのかもしれない。

 数年ぶりに読むので、その間に私の知識もいろいろ変化していて、須賀さん一家が麻布に暮らしていた時の隣人が原石鼎で……というくだりで「セキテー!!?」と大声上げそうにびっくりしたのは、前回読書からの期間に清家雪子『月に吠えたンねえ』で原石鼎のことを知っていたからですね。月吠学習効果……。

 『月に吠えらんねえ』のスピンオフ漫画なのですが、こっちは『らんねえ』本編よりも取り上げる分野が幅広く、原石鼎作品をキャラクター化した「セキテー」メインの回もあります(第49話「きっと良い弟子に」/単行本にはまだ入ってないのでアプリ・パルシィでどうぞ)

 それにしてもびっくりしたし、内容も前回よりずっとしっかり頭に入って来ました。きっとまた次に読むときも、知識なり経験から来る感情なりで違う読み味のところがあるんだろうな……と考えると、つくづく本は何度読んでもいいものですね。

トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』(村上春樹訳)

 海外文学にほとんど触れてきていないので、初カポーティでした。新潮文庫の夏のキャンペーン、恒例のプレミアムカバーの色がきれいだったのと、そういえば映画も見たことないし、どんな話か全然知らんな……と思ったので。

新潮文庫プレミアムカバー版。ティファニーブルーですね。

 なんか映画とは全然違うって話もうっすら聞いた覚えがあるし(まだ観てないのでどうなのかは知らない)、オードリー・ヘップバーンのイメージに上書きされる前に読むのって楽しそうだな……と。

 結果として、映画未見のまま読んで正解でした。初めはヒロインのホリーの奔放さに「あ〜これはヘップバーンだわ〜目に見えるようだわ〜」とオードリーのこともよく知らないまま思ってたんですが、読むにつれて、誰の演技・ビジュアルイメージでもない「ホリー・ゴライトリー」が私の中に固まってきて、それは映画を見てないからこその体験だったなぁと。主人公との関係性も良かったですね。そこに恋や思慕はあったとしても、男と女の「ともだち」の話になっていてとてもよかった。映画で安易なラブロマンスになってたらイラッとするかもしれん。映画も機会があれば観たいです。

野上弥生子『随筆集 花』

野上弥生子『随筆集 花』単行本

 7月は災害級の猛暑の中を神戸でスタンプラリーしたり、山口湯田温泉で中原中也記念館の展示を見たり(「草野心平と中原中也」展、素晴らしかったのでぜひ…!)、津和野の森鷗外記念館に行ったりしていたのですが、ここでは割愛。

 湯田温泉駅の目の前にある古本屋「ポラーノ文庫」さんで買った本です。暑くて朦朧としながらも、中身をチェックして、収録作の「夏目漱石」が岩波の野上弥生子随筆集のものとは違う話なのを確認して即買いました。

 「夏目漱石」は聞き書きの文章。そもそも野上弥生子が直接漱石に会った回数も少ないので、語られるエピソードは他の随筆に書かれていたものとほとんど同じなのですが、こっちの方が詳しかったり、他に書かれてない情報があったりしてホクホク。あとは木曜会に出入りしていたロシア人留学生、エリセーエフのことも個人的に気になっているので、「エリセーフさんからの便り」も楽しめました。

 エリセーエフについてはこの本に詳しく書かれています。今は単行本で新装版が出てるっぽい(けどそっちはチェックしてない)。
 エリセーエフの話、森田たまの本とかでもチラッと出てきて面白いです。

 さて7月は旅行+その後の肉体疲労回復であんまり本を読んでないんですが、なんとか記事になりましたね。8月も現状夏バテしてるのでどうなるかわかりませんが、ぼちぼちやっていくつもりです。