缶コーヒーロシアンルーレット【掌編】(286字)
夜のコンビニ。
駐車場で正座させられている俺。
目の前には栓の開いた缶コーヒーが5本。
これらを真剣な眼差しで見つめる俺。
そんな俺をニヤニヤしながら見下ろす奴ら。
そのままのコーヒーが入っているのは1本だけ。
1本にはたばこの吸い殻、1本には水溜まりの水、1本には目の前で吐き入れられた唾、そして残り1本には……尿が混ぜられている。
俺は今、ヤンキー女たちに絡まれてこのコーヒー缶5本から1本選んで一気飲みすることを迫られている。
ちょっと、ほんのちょっと注意しただけなのにこんなことになるなんて。
何としても当たりを選ばなければ。
どれだ、どれだ。
直感を信じるしかない。
当たりは2本――。
***
2021年1月
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!