毒舌寿司【ショートショート】(405字)
ここは、ゴリラの店主が握る草食動物専用の寿司屋。
そこへ初来店のリス。
「柿の葉いただける?」と着席早々。お次は稲わら巻きです。次々と頼むのは通好みのネタばかり。
食べ終わると、「ネタは悪くないけど……寿司はネタを乗せて握るだけじゃないのよ。包丁を入れたり煮たり締めたり仕事が必要なの。シャリだって私には大きいし、客一人一人を見て握らなきゃだめじゃない」とリス。
「お客さん、失礼しました。お代はいいので……。後、これはサービスです」
「あらっ、これは行者ニンニクかしら」とリス。食べ終わると「ネタは悪くないわ」そういって店を出て行きました。
「おいらにも今の握っておくれよ」と常連のモグラ。
「いや、今のは特別なお客様専用なんで」とゴリラ。
「ふ~ん……まあいいや。でもさっきのリスが言っていたことは間違っちゃいないよ。握るだけじゃないっていうのは確かにその通りで――」
「モグラさん、ちょいとスズラン寿司、味見してみますか」
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たらはかに(田原にか)さんのこちらの企画に参加しています。
スズランは青酸カリをはるかに上回る強毒性らしいです。スズランを生けた花瓶の水を飲んだだけで死亡した事故もあったとか。
私も幼き頃、近所の女子とのおままごとでその辺の雑草を食わせられていたので、ちょっと間違ったら危なかったかもしれません。
あれっ、モグラって草食動物だっけ……?まあいいや。
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!