夢から話のネタを【掌編】(534字)
俺は寝ている時に見た夢の内容をネタに話を書くことがある。
今も最高のストーリーの夢を見ている。こんな話は覚醒時だったら思いつかない。
しかし、夢と言うのはすぐ忘れてしまうから困る。だからこそ、半覚醒中にメモっとくことが肝要。
メモ帳はもうすぐいっぱいになる。新しいノートを新調しなくっちゃ。おいおい、ノートがいっぱいだからって俺がいつも寝ているわけじゃないぜ。
まあ戯言はこの辺にして。
この最高の夢もメモっとこうかと思ったが、これはまあいい。いつも見る夢の続きみたいなものだからすぐに思い出せる。
定期的に見るんだよな、この夢。
だからいつもの夢って脳内検索をかければすぐに出てくるってわけ。それに紐づけされているから、この新しいストーリーもパッと思い出すことができる。この夢はメモらなくても大丈夫。
こうして俺は半覚醒から再び深い眠りについた。
翌朝、目覚めた俺は考える。
俺は夢を基にストーリーを考えたことなどない。もちろん、それを記したノートもない。
定期的に見る夢もない。紐づけできていないのだから昨日の最高の夢も思い出せない。
惜しいなぁ、あれは確かに面白い話だった……はずだ。
そもそも俺は面白い夢を見たのだろうか。
それすらも徐々にあやふやになっていく。まあ夢なんて、こんなもん。
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2020年12月
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!