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「辛いときこそ笑顔になろう」【掌編】746字

「辛いときこそ笑顔になろう」

辛くて辛くてもうどうしようもない時、月並みだけどこの言葉を思い出してみて。

鏡を見てごらん?

楽しいって感情なんか忘れたみたいな顔してるよね。

でも、本当にそお? ホントにもう愉快な感情忘れちゃったのぉ?

無理して笑顔なんて作るなよ。

自分をよーく見つめて。顔じゃない。心の中さ。

悩みは人それぞれだけど、君はそれに振り回されているんだぜ。

ちっぽけな悩みだろうが、大変な悩みだろうが、今だけの悩みだろうが、ずっと続く悩みだろうが、僕にはどうでもいい。他人にはどうでもいい。君だけの悩みさ。

もう、どうでもよくない? どうせ他人にとってはどうでもいいことなんだ。どうにでもなれって思えてこない?

そんなどうでもいい悩みに君は振り回されている。馬鹿みたいだろ?

人間関係、仕事、学校、社会、お金、将来、過去、趣味、病気、怪我。

そんなのちっぽけな悩みさ。僕は君の悩みなんてどうでもいいね。今日の昼飯をどうするかぐらいどうでもいい。そんなことに頭抱えている自分を見てみなよ。どうだ? 滑稽に思えてきただろう?

いいよ、いいよ、笑えよ。夜中だろうが扉の向こうに人がいようが関係ない。どうでもいいよ、他人のことは。

抑えなくていい。思う存分に笑えよ。

どうだい?

このまま外に行ってみないかい?

君は今、どうしようもなく愉快な気持ちになっているはずだ。

外だからって抑える必要なんかない。道の真ん中で、スーパーで、学校で、会社で、警察の前で。笑えよ。思う存分に高らかに笑えよ。

ほら、人がたくさんいるだろう。にやけた顔をしている奴も、陰鬱な顔をしている奴も、いっちょ前にみんな何かしらの悩みを抱えているんだぜ。

笑え。自分を笑った時みたいにそいつらのことも笑え。

「辛いときこそ笑顔になろう」この言葉、忘れないでねぇ。


2021年12月


見出し画像にイラストをお借りしました。


爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!