路上でカフェでファミレスで【掌編】513字

「はい、小川です。あー、加納さん、お世話になっております。はい、はい、あー、はい、ありがとうございます。そう言っていただけると頑張った甲斐があります。はい、そー……ですねー、んー、それでいきましょう! 私も加納さんがゴーサインくれるんなら安心です。はい、来月からですね、頑張ります~。ますます頑張りますよ~。それでもう一つの件はどうなりましたか? ……はい、はい、なるほど~、そうですか。そちらの件はまた進展があればということですね。はい、よろしくお願いします。……あー、あの件ですか? そー……ですねー、私個人の意見としては全然ありなんですけどぉ、加納さんや、そちらの他の方がどう思われるかなぁと思ってまして。え? あ、そうですか? てっきりありよりのなしか、もしくは、なしよりのありでうやむやになってるのかと思ってました。じゃあ、そっちも進めちゃいましょうかね。うまくいったらお祝いしましょうね。加納さん、期待してますよ〜。またあの店連れてってくださいね。ははは、では、そうですね、じゃあ、最初の件とこの件、併せてよろしくお願いしますね、はい、はい、それでは失礼しまーす。はい、どーもぉ」



ハンズフリーが普及してから独り言がはかどはかどる。


2021年10月

爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!