見出し画像

カウントダウンレディオ【掌編】1,001字

さあて、もうすぐ金曜21時です。DJ.Keishiがお送りするカウントダウンレディオのお時間です。

今週も皆さん、お疲れ様でした。わたくし、Keishiのカウントダウンは……今週も進みませんでした。なので今日もこうして皆さんに近況を報告することができています。

Keishiは今週から新しいことを始めたんですよ。絵です。

道具を買って絵を描き始めました。雑誌の写真を見ながら模写しているだけですが、これが意外と楽しいんです。絵を描くのなんて小学校以来なので見れたもんじゃないですが、無心になって描きまくっていますよ。

こういう時、働いていてよかったなぁと思います。

ここに来たばかりの頃は一日中瞑想していようかなんて考えていたわけですが、そうもいきません。時間を持て余してしまいます。

そこでなけなしのお金で哲学書の類を買い込み、読書にふけろうかと考えました。でもね、今まで本なんて雑誌ぐらいしか読んだことがなかった自分が本格的に本を読もうとしても頭に入ってこないんですよ。

今では部屋の隅に本の山が出来ています。読書は少しずつ慣れてきているのでいずれ読破したいとは思っていますけどね。

瞑想もダメ、読書もダメとなるともうやることがないんですよ。ビデオは見ることができますがね、一日中ビデオばっかり見ていても無駄な時間を過ごしているように思ってしまう。

そうして、何をすべきかと考えたら……仕事ですよ。

私は働く必要はないんですけどね、お菓子もジュースも摂るべきではないなんて考えていたのでね。働いてお金を得ても使い道がないですから。それに日用品を細々と買っていくぐらいのお金はありましたから。

必要に駆られてというわけではありませんでしたが、私は仕事を斡旋してもらいました。単純作業は向いていないと思っていましたが、案外無心になってできるんですよ。

そして結果、絵を描く道具を買えるだけの余裕ができました。ありがたい限りです。

今週もお便りが来ています。ありがとうございます。

嬉しいことは全く書かれていないのですが、単調な生活に刺激を与えてくれますし、私がここにいる理由を再認識させてくれます。

私もここでの生活が長く、なぜここにいるのか分からなくなってくるんです。毎日毎日変わらない日々ですから。

そろそろ、就寝の時間です。それではまた来週お会いしましょう。私のカウントダウンが進まなければ。DJ.Keishiがお送りしました。


2021年5月


_____


彼がどこにいるのかわかりますか?


見出し画像に写真をお借りしました。



爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!