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男子中学生が書いた異世界系です。【掌編】(1,837字)

証拠物件から抜粋「選ばれし勇者ツトムが邪悪で許せない汚い悪の魔王ヒロートから美しくて優しい美姫ユイ姫を救う話」

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原文まま

???「そなたは……もしやツトム様ではありませんか?」

俺「ん……ここはどこだ?」

何者かの声に目を覚ますと俺は異世界にいた。なぜ異世界ってわかったって? そりゃわかるさ。なにせ声の主は手のひらサイズでしかも羽根があったんだから。そう、妖精ってやつだ。

キララ「私の名前はキララ。あなたはこの世界を救うために導かれた勇者様なんです」

俺「確かに俺の名前はツトムだけど……勇者なんて」

キララ「ツトムという名の勇者が現れるとこの国に伝わる伝説にあります。その御名前が勇者の証です!」

こうして俺、ツトムは勇者となりサーワ王国を救う事となった。キララによると、王国は今魔界から攻められていてピンチらしい。その憎くて醜い魔界の魔王がヒロート。

ヒロートは罪のないサーワ王国の人たちを苦しめ皆に忌み嫌われている。そしてもっとも許せないのがサーワ王国の姫、ユイ姫を誘拐したことだ。

ユイ姫は美しくて誰にでも優しいお姫様だ。身長155.1センチ、体重46.5キロ。美しい黒髪を肩まで伸ばしている。球技が得意でおしゃべりも好きらしい。俺はユイ姫の写真を見て一目ぼれした。

絶対に悪のヒロートからユイ姫を救って俺の恋人にしてみせると決意した。

こうして、俺、ツトムは妖精のキララをお供にして魔王城へと旅立った。途中の敵はザコばかりだった。蹴ったり空き缶をぶつけたりしたらすぐに倒せた。

魔王城へ到着。ヒロートにふさわしいボロくて汚い城だった。魔王ヒロートと対面する。魔王ヒロートは卑怯にもユイ姫を盾にした。

俺「ヒロート、卑怯だぞ。みんなお前のことを嫌っているんだからな。その汚い手をユイ姫から離せ!」

ヒロート「グヘヘヘ、勇者ツトムよ。ユイ姫を殺してやる、グヘヘヘ」

ヒロートは汚い手でユイ姫を殺そうとしていた。

キララ「人質さえいなければツトム様のお力でヒロートなんて一撃なんですが……そうだ! 必殺技を使えばヒロートだけ攻撃できます!」

俺「そういうことは早く言ってくれよ!」

俺は頭の中に浮かんだ呪文を唱えた。

俺「覚醒!奥義!聖ツトムソード!」

ヒロートは醜い肉塊へと形を変えた。こんな小汚いヒロートにはもう用はない。

ユイ「助けてくれてありがとうございます! ツトム様♡ 黒髪と鋭い眼光がカッコイイんですね!」

俺「俺もユイのことが好きだ……。結婚しよう」

ユイ「ハイ♡ 喜んで♡ 嬉しい♡」

俺、ツトムとユイは熱いキスをした。そしてハグをした。いつまでもいつまでも。

~完~

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教室の隅に追い詰められた博翔ひろとの腕にはいくつも切り傷があった。いつもからかっているつとむが豹変したのは今日の放課後のこと。

いつものように勤にジュースのお使いを頼み、誰もいない教室で待っていた。帰ってきた勤の手にジュースがなかったため、叱るために蹴ろうとしたら突然勤が果物ナイフを取り出して暴れ出したのだ。

勤「もう我慢できないんだよっ! いっつもいっつも外まで飲み物買いに行かせて! 金払えやっ‼ 貧乏貧乏って言うくせにお前の方が金ねーんだろうが!!!」

博翔「金は後で払おうとしてたんだよ……血、血出てるから」

勤「そっれに! ユイ姫もたぶらかしやがって!」

博翔「ユイ姫? 結衣ゆいのこと? あいつから告ってきたんだけど……」

勤「んなはずないっ! んなはずないっ! ユイ姫は俺が救う!」

激情した勤に足がすくんだ博翔は何も言えずにうずくまった。

勤「覚醒!奥義!聖ツトムソード!」

勤は博翔に何度も何度も果物ナイフを突き刺した。博翔は醜い肉塊へと形を変えた。

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22日午後5時10分頃、●●県澤乃市にある市立中学校の教室で同中学校2年生の高橋博翔さん(13歳)が血を流して倒れているのを同中学の教諭が見つけ、119番通報した。高橋さんは救急搬送されたが死亡が確認された。

●●県警は現場にいた同級生の少年 (14歳)を殺人容疑で逮捕した。少年は「いじめられて我慢できなくなってやった」と容疑を認めている。

同中学校に通う女子生徒は「被害者はクラスの中心人物で明るくていい子で、加害者は誰とも口をきかないおとなしい子だった。被害者だけはよく話しかけていたので仲がいいのかと思っていた」とショックを受けていた。

県警によると少年の家からは自身や被害者が登場する自作小説が見つかっており、詳しい経緯や動機との関連性を調査している。

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この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。(2020年9月に書いたものです)




爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!