1手詰から始めるフェアリー超入門 AntiAndernach編1
今回は AntiAndernach です。過去の記事は下記のマガジンをご参照ください。
ルール
名前から想像できるように、AntiAndernachはAndernachとちょうど逆のルールです。Andernachについては下記をご参照ください。
大雑把には、盤上の駒を動かす着手について……
Andernach:駒取りの場合、着手後に相手の駒となる
AntiAndernach:駒を取らない場合、着手後に相手の駒となる
というルールです。駒を打つ場合は普通の協力詰等と変わりません。
ルールの詳細は下記の通りです。[補足]はAndernachと同様です。
図でルールを確認していきます。
普通の協力詰等では、上図は12歩成の1手詰です。
AntiAndernachの場合、駒を取らない盤上の移動で駒の所属が変わるので、12歩成とした後にと金が後手の駒になります(下図)。
このときの棋譜は「12歩成転」と書きます。駒の向きが変わることを「転」で表すのはAndernachと同様です。
補足(2)に記載の通り、歩が成るかどうかを攻方が決めてから転しています。
大抵の詰将棋では、攻方の手は駒取りよりも駒を取らない着手の方が多いです。そのため、駒を取らない盤上の移動で駒の所属が変わるAntiAndernachでは、王手の仕方が限られます。具体的には下記の3通りです。
駒を取る手(ただし、開き王手ではない)
開き王手
持駒を打つ手
上記3通りの王手を含む AntiAndernach協力詰 3手 を見ていきます。
まず左下図は「22歩生、11玉、21金」の3手詰です。初手は駒を取るので所属は変わりません。最終手は持駒の金を打って詰まします。
次に、左下図は「21歩生転、12玉、11金」の3手詰です。
初手は開き王手です。1段目への歩生ですが、所属が変わるので行きどころのない駒の禁則には当てはまりません。なお、初手21歩成転では、最終手11金を同とと取られて失敗です。
本図も、持駒の金を打って詰ましています。
詰将棋は詰め上がりで攻方の持駒が余らないように作る必要があるので、AntiAndernach協力詰の最終手は駒打ちか開き王手のどちらかになります。
例題
AntiAndernach協力詰 1手 ※受方持駒なし
左上図は 12角成転 迄の1手詰です(右上図)。
受方に持駒がないルール設定なので、合駒を打つことはできません。また、12馬を動かす移動合もできません。なぜならば、21馬転は下図のように自玉を王手にさらす禁手だからです。
なお、初手12角生転は21角転の受けがあります。
練習問題(1手・3手)
1手のAntiAndernach協力詰を10題用意するのは無理があったので、1手を3題、3手を7題としています。解答は次回の記事に記載します。
受方の持駒がない設定の問題がいくつかあるのでご注意ください。
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