1手詰から始めるフェアリー超入門 Andernach編1
今回は Andernach です。過去の記事は下記のマガジンをご参照ください。
ルール
Andernachはドイツ南西部の街の名前で、「アンダーナッハ」と読みます。
図でルールを確認していきます。
上図で、金を香不成で取る手を考えてみましょう。
これは駒を取る着手なので、金を取った場所(13の地点)で香の向きが変わります(下図)。
このときの棋譜は「13香生転」と書きます。駒の向きが変わることを「転」をつけて表現します。
補足(2)に記載の通り、香が成るかどうかを攻方が決めてから、香の向きが変わります。これは自然なルール設定かと思います。
通常の協力詰などでは13香生は王手になりますが、Andernachでは王手になっていません。Andernachでは、駒取りを行う駒で王手を掛けることはできません。王手を掛けながら駒を取るには、開き王手を使うしかありません。
例えば、左下図で21香成転として金を取れば、飛車で王手が掛かります(右下図)。
ちなみに、左上図では21香生転も可能です(下図)。
補足(3)に記載の通り、駒を取って駒の所属が変わるなら、一瞬行きどころのない駒になっても問題ありません。
駒を取ると相手の駒になるというルールは、玉方の守りに不都合な場合があります。
左下図は攻方が12金と打った局面です。21銀が利いていますが、Andernachでは実はこれで詰んでいます。銀で金を取る手は「同銀転」で銀が攻方の駒になってしまうので、王手を外せていません(右下図)。
左下図の場合は、12金を同角転と取り返すことができます(右下図)。
似たような図ですが、左下図は詰んでいるでしょうか。
18金を同角成転とするのは自玉への王手を外せていませんが、同角生転で王手を外すことができます(右上図)。
最後に、補足(1)の「取ると二歩になる場合相手の駒にならない」を実例で確認しましょう。
左下図は攻方が22金と打った局面です。これを歩で取り返す場合を考えます。駒取りなので歩は先手の駒になると考えると、同歩転で右下図になります。
しかし、二歩が発生しています。このような場合は「転」は起きずに通常の駒取りになります(右下図)。棋譜は「同歩」です。
例題
左上図は 32金 迄の1手詰です(右上図)。
これを龍で取ることはできません。同龍転で、自玉を王手にさらしてしまうからです。
代えて12金は、同飛転で詰んでいません。
練習問題(1手・3手)
1手のAndernach協力詰を10題用意するのは無理があったので、1手を2題、3手を8題としています。解答は次回の記事に記載します。
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