『命だけは勘弁してくれ』を言いたいがためにボードゲームを作りました
本日は3/15、奇しくもサイコの日とのことで運命的な感じがしますが、無事入稿も終わったので、ボードゲームを作った話をさせてください。
どうもこんにちは、ツマヤのゲームデザイナー、表通(おもてどおり)と言います。普段は @roziomote という ID で Twitter をやっていたりやっていなかったりします(ほぼやっていません)。
概ねタイトルどおりなのですが、改めて説明すると、『命だけは勘弁してくれ』『金ならある』『俺を殺すと後悔することになるぜ』などの命乞いをしたいがためにボードゲームを作って販売することになったので、そのご紹介をしたいというのがこのエントリです。
命乞いがしたい
『ごっこ遊び』というのは皆さんやったことがあると思うんですが、ごっこ遊びにもいろいろあります。ヒーローごっこだったり親の見ていた昼ドラのマネごとだったりおままごとだったりです。今どきはビデオゲームで歴戦の傭兵になれたりするので、ごっこ遊びは現代のメジャーな遊びといえるでしょう。
そんな中、僕はとにかく命乞いがしたかった。間違えてもらっては困るのですが、命乞いをさせたいのではなく、したいのです。ブザマなサンシタ=マフィアになってボロ雑巾のように命乞いがしたい。ついでにその上でブザマに殺されたりしたい。
命乞いさせる側になれるゲームというのはビデオゲームなどに溢れていて、まぁまぁな頻度でサンシタ=キャラの命乞いを聞くことが出来るのですが、自分が命乞いをする側になれることはあまりなく、あっても一瞬ぐらいでしかない。僕には渾身の命乞い案がこんなにあるのに、披露する機会に恵まれてない。これはよくない。
ということで作ったのがこちら、命鯉です。めちゃくちゃ命乞いできそうなタイトルだと思いませんか?
原初の命鯉
命鯉は最初、いくつかの秘密を抱えたスパイ同士が誰か一人を締め上げる、という想定で作られました。つまり、命乞いする役1名と、恫喝する役数名の構造です。
その結果得られたフィードバックとして、
・なんと言って命乞いすればいいかわからない
・よくわからんけど殺せばいいかなという気持ちになる
・複数人に詰め寄られると怖い
という知見を得ました。
あまりに命乞いしたくてちょっと頭がバグっていましたが、考えてみれば命乞いする状況はほぼ生きるか死ぬかなので緊張感があり、しかも多人数から詰め寄られると怖いです。ここでゲームルールを複雑にしたり、点数制をいじったりなども考えたのですが、とにかく楽しく命乞い出来る方向にゲームを寄せたかったので、様々な判断の上、ゲームルールを変更しました。
・なんと言って命乞いすればいいかわからない
→ 命乞いに使える材料をカードで絞ろう
・よくわからんけど殺せばいいかなという気持ちになる
→ これは面白いのでよくわからんけど殺す選択肢は残そう
・複数人に詰め寄られると怖い
→ 人数比を逆転させよう
最終的に命鯉は『よくわからんけどキレてるボスに命乞いして許してもらおうと頑張るけど死んだり生かされたりする』というゲームになりました。なお、勝敗はボスが『あいつ死んだけど面白い命乞いしたな』などの極めてファジーな基準によって決まります。そうなった理由は『めちゃんこ面白い命乞いして死ぬ』という映画でよく見るキャラを勝たせたかったからです。
幾度かのテストプレイを経て、 プレイ人数も見極めがついてきたし、カードも揃ってきたしということで、具体的なボードゲームとして形にするぞ〜とデザインなどを決めていきました。具体的なデザインが始まるまでに結構な回数プレイしていると思います。
プレイしやすくする仕掛け
命鯉は『命乞いするゲーム』ですから、極めて自然な流れとしてプレイヤーは命乞いをする必要がありますが、一般的な日本人は命乞いの経験に乏しいことが多いです。命乞いが特技ですとおっしゃる奇特な方もいらっしゃるそうですが、僕が知る限りあんまり命乞いはメジャーな特技ではないです。
『何でもしていいよと言われると何もできなくなる』ということは往々にして存在するので、逆説的に『これしか使っちゃいけないよとすればその中で考えることが出来る』のではないか、ということで、命乞いに使える材料を制限することにしました。
プレイヤーは3枚の命乞いカードから2枚か3枚、必ず使って命乞いをします。上の画像例でいうと『成金』『赤子』『外交官』ですね。どういうストーリーで命乞いするかは自由ですが、フレーバーテキストにちょっとした命乞いの例も書いてあります。
命乞いするゲーム、という初っ端から殺伐としたゲームなので、イラストは親しみやすくかわいい鯉を基調にデザインしてもらいました。めっちゃかわいいイラストを誰が描いたのかは、製品版のクレジットを御覧ください。
制作途中『そういえばなんで鯉なの?』と聞かれましたが、まずもって僕が最初に思いついたタイトルが『命鯉』だったこと(ダジャレ)。あと、鯉って上むいて口をはくはくしてるイメージがあるじゃないですか、あれってこう、殺される寸前の人がはくはくしてるのに似てるなぁと。そういう理由で鯉になっています。
ちょっと気の利いたプレイヤーカード
各プレイヤーにはガイドを兼ねたプレイヤーカードが配られます。
最大6人プレイ想定なので6枚のプレイヤーカードが入っていますが、色で6色にするとどうしても色覚特性上見分けられない(あるいは見分けられるがとても難しい)色が出てしまったため、色と併せて各プレイヤーに違う和柄を採用しています。
ボスがプレイヤーに命乞いをねだる時『**さん、命乞いしてください』とかいうと緊張感がなく、呼び捨てで横柄に振る舞ってほしいけど、初対面だしな……という時のために『そこの赤いの』とか『麻の葉柄のお前』とかで呼べるようにという仕組みです。
結果的にプレイヤーカードがやたら可愛くなったので気に入っています。最初は色だけだったので随分のっぺりしたカードだったのですが、気づけばコンポーネント中いちばんおしゃれなカードだと思います。
なお、市松模様は採用していません。
色んな人に遊んでほしい
俺流最強の命乞い、というのは皆さんそれぞれがお持ちかと思うのですが、テストプレイを繰り返してきて痛感するのは、人の命乞いを聞くのは楽しい、という点に尽きます。
今の所親しい身内でしかプレイしていないのですが、その中でも動画にしたいと思えるくらいのイケてる命乞いはバンバン飛び出してくるので、ゲーム実況とかやってる人がプレイするともっとなめらかにヤバい命乞いが飛び出すのだろうな、と思っています。
売上的な問題はさておいて、とにかく色んな人が命鯉をプレイしているところが見たいので、どうにかしてプレイして動画を上げてもらえる仕組みに出来ないかな……と悩んでいる最中なのですが、何かみなさんとできそうなことを思いついたら、またご報告させていただければと思います。
最後に、発売情報
命鯉は来るゲームマーケット 2021 春にて販売予定。土日両日います。
会場限定でちょっとだけお安くなっているので、ぜひぜひ会場でお会いしましょう(もちろん、感染症などには十分気をつけて)。
参加名:ツマヤ
参加枠:一般両日
卓番号:両-ア16
開催日:2021年4月10日(土) 10:00~17:00
:2021年4月11日(日) 10:00~17:00
会場 :東京ビッグサイト 西展示棟1,2ホール
住所 :〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1 東京ビッグサイト(東京国際展示場)
https://gamemarket.jp/access
また、在庫揃い次第 Booth でも販売開始予定です。最新情報が追いたい場合は Booth のフォロー機能などをご活用ください。
https://tsumaya.booth.pm/
その他、こうした Note の記事や細かい情報などはツマヤ公式 Twitter にてお届けしています。今後のキャンペーン情報などもお届けするかもしれないので、命鯉に興味が湧いたらぜひ、フォローして下さい。
https://twitter.com/tsumaya_games
またお会いしましょう。表通でした。
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