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“掃除”から再生が始まった町工場。(株)東栄超硬/愛知県愛西市

企業の新規事業プロジェクトとそれに取り組む外部の兼業・プロボノ人材をマッチングするふるさと兼業という取り組みの中で、昨年11月からお手伝いさせていただいた会社があります。

愛知県の愛西市にある、株式会社東栄超硬という社員数9名の小さな金属加工の企業です。ちょっとご紹介させてください。

なにをやっているのか

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超硬合金の精密切削加工を行っています。超硬合金とは何かというと、その名前のとおり“超硬い”合金で、金属類でもHardness 10のダイヤモンドに次ぐレベルの硬さがあります。強度や耐摩耗性に優れ、『金属を加工するための金属』として工作機械の部品に用いられます。

そのとにかく硬い超硬合金の素材をミクロン単位で削って工具としての用途に合わせて形作る加工を行うのが東栄超硬の誇る技術です。

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かつて人気番組『ほこ×たて』の「最強金属vs最強ドリル」回に、中小企業連合軍のメンバーとして出演したこともあります。

なぜやるのか

昭和56年創業の東栄超硬は、現在は事業を承継した2代目社長の坂井真一さんが『ひと創り、もの創り』という理念の下で事業を推進しています。

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華やかな商社マンから転じて、リーマンショック期に家業である東栄超硬の承継を始めた坂井さん。WEB集客を活用して窮境を脱したものの、承継に伴う変化の過程で社内の雰囲気は悪化し、従業員のモチベーションも低下。多くの従業員が離れ、納期の遅延も横行し、その後悔から「人を大切にし、社員が会社を誇れる環境を作らなければならない」と一念発起して意識改革が始まりました。

どうやっているのか

それから始めたのが3S活動(整理・整頓・清掃)です。

当時の工場内は壁も床も真っ黒な機械油の汚れが堆積していて、東栄超硬はよくあるイメージどおりの暗い・汚い町工場でした。そこでもうこの状態には戻らないという不退転の決意を込めて工場内を真っ白に塗装し、再び汚れに塗れることがないよう環境整備活動の時間を毎日割いて、現在も清潔さを保っています。

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この環境の変化が大きな効果をもたらし、従業員の意識も向上。生産状況の見える化などの業務改善に取り組む意欲も生まれ、慢性化していた納期遅延も解消されました。

こんなことやります

東栄超硬は今年、新たに2つのプロジェクトに取り組んでいきます。

1. 設備稼働状況のWEB公開による、空き設備の受注活動
生産状況の見える化によって設備の非稼働時間が明らかになったので、その空き状況をWEB上で公開することで、切削加工案件の処理に悩む他の金属加工業者の駆け込み寺の役割を東栄超硬が果たします。

2. ショールーム工場のBtoB見学会
3S活動で生まれた真っ白な生産現場は、“ショールーム工場”と位置づけて社外への公開も随時行い、取引先の監査等でも好評をいただいてきました。
2019年中には現場併設の事務所をプレゼンテーションルームとして応接用に改装を完了。「町工場のイメージを変える」コンセプトの下、業務改善に関心のある他社企業を招き、工場見学とプレゼンテーションを織り交ぜながら3S活動に端を発する再生の取り組みをお伝えしていきます。
小さな町工場でもここまで変われるのだという気づきを得、環境整備や業務改善を行っていく動機付けとして役立つ工場見学会になると考えています。

それぞれご興味・関心のある方は、東栄超硬までお問い合わせください。

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私はふるさと兼業でもう1社、三重県の企業にも関与していますが、この中京圏の中小企業、特に製造業はまだまだ魅力やチャンスに溢れていると感じています。でもその存在や情報は埋もれがちで、なかなか世間一般に知られる機会はありません。

自分が毎日noteを書くようになったのは、自分自身が発信力を身につけることで、支えたいと思った存在を見つけたときに少しでも広く知らせることができるようにしたいと、原石と出会った過去郡上との関わり・今回のふるさと兼業といった経験を通じて切に感じるようになったからでもあります。

現状の自分の力ではなかなか遠くまでリーチできないのが、忸怩たる思いでいっぱいです。もっと力をつけなきゃな……。

フリーランスでホームページ制作のコーディング外注を請け負っています。詳しくは以下をご覧ください。ご依頼お待ちしています。 https://note.com/tsukurumizuno/n/n533ff49fabbf