見出し画像

ツクルバ11年目に寄せて。上場後の改革を実施し再成長へ(代表取締役 村上)

株式会社ツクルバでは、株主・投資家のみなさまとのコミュニケーションの向上を図るため、本noteで「TSUKURUBA IR 通信」をスタートします。
IR通信では、ツクルバの取り組み、事業に対する姿勢、社内トピックス、近況報告、メンバーの思い等をお伝えし、株主・投資家のみなさまとより良い対話ができるよう努めてまいります。ぜひ、フォローをお願いいたします。

初投稿は、代表取締役CEOの村上が担当します。

初めに

株式会社ツクルバは、2011年に共同創業者の私(村上)と中村によって設立され、現在は住宅・不動産領域においてインターネットを活用したサービスなどを提供するベンチャー企業です。今年2021年に創業10年を迎え、経営体制の変更を行い、次の10年へと歩みを始めました。
日々、当社をご支援くださっているユーザーの皆様、取引企業様、株主の皆様、ツクルバのメンバー(社内では社員・役員をメンバーと呼んでいます)、全てのステークホルダーの皆様に感謝いたします。

昨日2021年7月期通期決算発表を行いました。業績や2022年7月期の取組みにつきましては、開示資料をご参照ください。
本稿は、決算発表内容に加えて、代表取締役CEOである私、そしてツクルバのメンバーが考えていることを社内外の皆さまにご理解いただき、私たちに共感し挑戦を応援してくださる方が一人でも増えることを願い投稿しております。

特に、ツクルバの挑戦については、本投稿の「現在カウカモ事業を通じて挑戦している中古住宅流通市場のアップデート(What)」「どのように実現しようとしているのか(How)」の部分をお読みいただければ幸いです。

なぜツクルバを創業したのか(Why)

画像11

(2011年撮影:左から共同創業者の中村、村上)

私が小学生だったとある日、父が買ったパソコンが家に届き、インターネットに接続されました。ビルゲイツさんと孫正義さんが行ったWindows95の記者会見をテレビで見た時「パソコンもWindowsも、誰かがつくっていて、それを世界中の人が使っているんだ」と感動に震えたのを覚えています。(こうして、書いてみると当たり前のことなんですが笑 子どもの頃は社会がどう構築されているか理解していなかったのです)
世界は与えられるものじゃない、自分たちでつくっていくものなんだ、と理解した記憶があります。

その後、学生時代に経営戦略とCSRを専門とする研究室で学び、上場不動産デベロッパーのコスモスイニシア(旧リクルートコスモス)にて不動産業の実務に従事、その後不動産情報サービスを提供するIT企業のLIFULL(旧ネクスト)でソフトウェアビジネスを経験し、コスモスイニシアの新卒同期であった中村と共にツクルバを創業いたしました。

学生時代の研究室での経験、そして就業期間中にリーマンショック(経済危機)、東日本大震災(災害)が起こり自身の価値観が大きく揺さぶられたことが、起業そして現在の経営方針の根源となっています。

「これからの時代に必要なサービス・プロダクトを生み出し、事業の拡大を通じて大きな公益を生み出す企業を生み出したい」

そう強く願っています。

ツクルバがつくろうとしている未来(Where)

画像1

ツクルバのミッション「場の発明を通じて欲しい未来をつくる」には2つの意志を込めています。

「発明」という言葉には、「インフラのような、多くの人が当たり前のように使う、大きな事業をつくろう」という意志を、

そして「欲しい未来をつくる」という言葉には「欲しい未来をつくるのは自分たち自身だ」という、社会に対するオーナーシップを持つ意志を込めています。

現在掲げているVISION2025「やがて文化になる事業をつくり続けるリーディングカンパニー」は、私たちの事業を通じて人々の生活がアップデートされる、そんな事業をどんどん生み出し続ける企業として社会から認知され期待されているような状態を目指そうというものです。
例えば、当たり前のように誰もがより自由に自分らしい住まいや働き方を気軽に手に入れられて、多くの人の人生が楽しくなるようなお手伝いができたら素敵だと思いませんか?

私たちはそういう企業になるんだ、と信じています。

現在カウカモ事業を通じて挑戦している中古住宅流通市場のアップデート(What)

画像3

供給者(事業者)側と利用者(個人)側で情報の非対称性が多く、利用者側が様々な"不"を被っているのが住宅・不動産業界の実情である、ということは、皆さん何となく想像に難くないかと思います。

その中で、我々が現在挑戦しているのは中古住宅の流通市場のアップデートです。
「衣・食・住」と言われるように全ての生活者にとって必要不可欠であり巨大な市場規模でありながら、多くの課題があります。

< 既存の流通構造の課題 >
・多段階の流通構造により流通摩擦が大きい
・IT化の遅れにより流通工程が非効率
・リノベーション価値や定性的な利用価値が物件価格に織り込まれづらい
・川上・事業者志向の業界構造となっており、ユーザーニーズにあった商品・サービスが供給されにくい

画像3

このような課題に対して、カウカモ事業ではマーケットプレイス型のプラットフォーム構築を推進し、ユーザー(個人)本位の流通構造を実現しようとしています。

画像4

カウカモ事業が対象とする中古住宅流通・リノベーション市場は、政府目標としても拡大が掲げられています。

画像5

また、今後拡大していく中古住宅市場において、2025年には"築古"が市場の半数を占めるという構造変化が起き、リノベーション住宅が当たり前になります。

画像6

リノベーション住宅が当たり前の世界では、ますますユーザー本位の物件供給や無駄のない流通構造の重要性が増していきます。私たちは、カウカモ事業を通じて人々のQOL向上や市場拡大に寄与していきます。

どのように実現しようとしているのか(How)

カウカモ事業の正式リリースが2015年6月、その後2019年7月に上場し、現在上場後3期目を迎えます。
ここからはもう少し足元の現実的なお話をします。

上場後のツクルバに起きた課題と再構築

画像7

ツクルバは2011年の創業ですが、創業当初から4年間は小さなデザインファームとして活動していました。カウカモ事業を開始し、上場を目指す方向性に転換したのは2015年のことで、そこから4年で上場を実現することとなります。
上場時の社歴としては8年ですが、カウカモ事業を開始してから4年で組織規模が10倍へと急拡大した状況で、組織の軸となる指針がない状況でした。
「中長期の継続的な成長の為には、組織の軸となる指針をつくり、改革をしなければ」と動き出した矢先に重なって、世界的にパンデミックリスクが表面化してしまいました。

・事業の成長
・組織の改革
・パンデミックにおけるリスク対応
・資本市場との対話

これらを上場企業として同時に行わねばならず、2020年は非常にタフな1年となりました。

組織改革においては、事業部制を導入し経営体制を変更することで、迅速かつ最適なマネジメントを実施できる構造改革を行いました。また、外部のパートナーと共にコーポレートアイデンティティの刷新及びビジョンとバリュー(行動指針)の策定を行い、今後の組織拡大を見据えた準備を行いました。

結果として、パンデミックによる業績影響を受けたものの、2021年7月期においてカウカモの流通総額は堅調に伸び、第4四半期では売上総利益が過去最高水準まで回復しました。

進行中の2022年7月期から、再成長していく土台が整ったと言えます。

上場企業のファイナンスのリアル

画像8

上場企業の中でも、当社のようなスモールキャップ・マイクロキャップ企業(※)は、ファイナンスの機会や手段が限られるの実情です。
新株を発行する際は希薄化を大きく上回る企業価値向上を目指すのは当然ですが、企業価値向上の為にはそれに資する先行投資が必要になります。企業規模が小さいうちは先行投資がPLに大きな影響を与えてしまい、短期の株価に影響が出る可能性があるというジレンマが存在します。上場企業全体のうち時価総額300億円以下の企業は約60%を占めますので、多くの企業がこの悩みを抱えています。
もちろん、そういった環境であることも踏まえて上場企業として結果を出していくことは、経営陣ひいては私の経営力によるものであり責任であると強く感じております。
(※時価総額が小さい企業)

参考:
スタートアップは二度死ぬ?投資家リテラシーの谷 (「シニフィ談」by Signifiant)
上場後の成長の谷に関する共同研究レポート (一橋大学 鈴木健嗣教授、
グロース・キャピタル株式会社)


このような状況の中、当社の取組みをご支持いただくことで、上場後においても丸井グループからCBで7億円、また佐護勝紀氏及びワングローブキャピタルから第三者割当増資で10億円の資金調達を実施することができました。(参考記事

上場企業の経営は、ステークホルダーの皆さまから様々なご意見をいただきます。ご意見を真摯に受け止めるとともに、IR活動を通じて、当社の認知度・理解度向上に努め、応援いただける方々を増やしながら、中長期の目線で企業価値の向上に向き合っていきたいと考えております。

先行投資に関する考え方について


カウカモ事業が独自のポジションを確立するために先行投資を行なっていきます。(詳細に関しては開示資料をご覧ください)

画像9

カウカモでは、これまで再販事業者と個人買主間の仲介により頂く手数料を中心に事業を展開してきました。
2020年7月期より買主向けの付帯サービス、再販事業者向けの支援サービスを順次試行し、2022年7月期からは売主サイドの事業構築の強化に取り組んでいく方針です。
これらの取り組みの拡大により、流通過程におけるカウカモ事業の付加価値獲得(テイクレート)を構造的に改善していくことが可能になります。

画像10

カウカモ事業のこれまでは、買主が増えることで売主のインセンティブが上がり、売主に対して独自のポジションを築いてきました。現在カウカモプラットフォームには買主となりうる30万人を超える登録会員がおり、十分なユーザー基盤が構築されています。今後は売主側の支援をしていくことで、ユーザーニーズに合致した物件を増やし、買主のインセンティブをあげ、好循環構造の加速をさせていきたいと考えています。

構造的なテイクレート及び流通規模拡大を実現することで、参入障壁の構築及び競争優位性の獲得を実現し、独自のポジションを獲得することを目指します。

終わりに ステークホルダーの皆さまへ

以前、こんなメッセージを社内のメンバーに発信しました。
期待を投資に、投資を成長に、成長を結果に、結果をまた期待に繋げて、未来を現実のものにしていく。

現在も様々な投資家の皆さまがツクルバに対して期待をしてくださっていると認識をしております。
まずはカウカモ事業による中古・リノベーション住宅市場におけるイノベーションを起こし、次の柱になる事業へと繋げていく。その連続によってツクルバという存在が事業を通じて社会をより良くしていく。
私は、そんな未来を実現するためにツクルバという会社があると思っていますし、ツクルバにはその力があると信じているからここにいます。

成功するイノベーションは、知性の偉業ではなく意志の偉業
ヨーゼフ・シュペンター:経済学者(書籍 メイキング・オブ・ピクサー より)

最後は意志の力が最も重要だと思っています。
上場後、パンデミックにあっても、変化を恐れず様々な改革を進めてきました。自分たちの信じる世界が実現した姿をイメージしながら、大きな目標を見据えて、今自分たちにできる改善を日々地道に積み上げていきたいと思います。

11年目から始まった、あたらしいツクルバをどうぞよろしくお願いいたします。

IR通信の更新情報を含むIR情報をIRニュースレターで配信しています。配信をご希望の方は、こちらからメールアドレスの登録をお願いします。