徒然と -エッセイ集
シングル
間違えてシングルを買った。トイレットペーパーの話だ。ダブルしか使ったことがない私にシングルは耐えられない。
これは、ちいさな幸せの反対に位置するものだと、トイレに行くたびに思う。
「洗面所に埃が積もってるのとシングルで寝てる人は信用ならない」
当時いた君にそういうと「いずれはもっと大きいベッドにするつもりだ」と言ってた。
一人暮らしでダブル使ってるのにそれ以上大きくてどうするんだい。
好きになればそんなのどうでもいいのだが、好きになるには必要な材料なのだ。
食欲
美人の条件に「食欲に振り回されない」と記してある投稿を見た。ならば私は美人だ。食欲に振り回されず従順なので。
どうも夏バテ気味な日々が続く。健康を売りにしてる私としてはやるせない。悔しい。ただこんな暑い日に好んで外に出る方が物好きでおかしい。
身体は食を求めてないが、心が求めていたので口にすると見事に吐き気に襲われる。
いつから私の体はこんなにやわになったのだろう。
いくら寝ても瞼が重い。
評価
「好き」
そう言われると途端に異性に評価される世界線にログインすることになる。
大学一年生のとき、酔った二つ上の男性先輩二人に笑われながら顔がでかいだのブスだの言われたのを私は忘れない。
この頃よりは、かわいいとか好きとかの方が言われる回数が随分と増えた。だがその事実が100%嬉しいわけじゃない。好きというジャッジを下されるとその後嫌いになられることを怖がらなくてはいけない。
絶対の自分を卑下するのも肯定するのも自分だけというのは至極安全、傷つかない。
でも私だって異性を評価する。かっこよくて、やさしくて、おもしろい人と一緒にいたいし、知らなかった酷い一面を見てがっかりしたこともある。
誰かと過ごすことを選ぶということは、評価し評価されることを受け容れるということなんだ。
欲張り
経営者はよく言う、モチベーションなどない、と。成功者にはモチベーションに頼らず進む力がある。経営者になりたいわけじゃないけど、自分の理想を自分の力で掴み取る成功者にはなりたいので、モチベに頼らないことを意識し、できるようになった。大人はなりたいものになれる。
でも、オートだけで推進していると、不図気を抜いたときに何のためにやってるか分からなくなり“ぼう”と立ち止まってしまう。
理想というのは随分欲張りだ。私の推進力も感情もどちらも欲しがる。
だから対抗するように私も欲しがる。
広い部屋も、美味しいご飯も、大地も宙も、家族と友人と好きな男も、ぜーんぶ私にちょうだい!ってね。
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