死に場所を探して生きた10年間。だから22才の僕は反出生主義を貫く。
1.最低最悪の世界に生まれて
「この世界に生きている意味は、ない」
「こんなに苦しくて、辛くて、しんどい世界、
いっそ生まれて来なければよかった」
小学4年生のころからこんな感情を抱えて生きてきた。
幼少の頃から好きなものもなく、熱中できるものもなく、
楽しいことも全く起こらない絶望に満ちた世界だった。
僕は今22歳になるが、昔からこんな自分が生きている意味はないと思ってきたし、今もこの世界に生きている価値・資格がないと思っている。
じゃあなぜさっさと死なないのか。
自殺が痛くて怖そうだからである。
自殺への恐怖だけが唯一自分をこの現実世界に繋ぎ止めている。
朝起きても夜寝る前も、いつになったら死ねるのかを考える。
結局のところ、死に場所を探して毎日生きてきた。そんな22年間だった。
2.ヒトが生きる意味と価値とは
古代の哲学者アリストテレスは、「人間は社会的動物だ」と規定した。
さらに、17世紀に近世哲学のパイオニアであるホッブズは、社会ができる前の人間たちの状態(自然状態)を「万人の万人に対する闘争」であり、殺し・殺されあう世界だと説いた。
そういった生存の危機から、自分たちを守りあうために我々は「社会」という共同体をつくっていると結論づけた。
この2つの理論は高校生のころに倫理の授業で習ったが、その授業を聞いたあと、そこから導かれる帰結として、「人間は社会という共同体に守られている。共同体の中で守られて生きる動物である以上、共同体に貢献しなければならない」と思った。
誤解を恐れず言えば、高校生の時の僕は「共同体に利益をもたらせない人間に生きている価値はない」と考えた。
この考えは、自分の中でずっと引き継がれており、さらに面倒なことにこの理論に乗っ取ると、毎日大学で勉強しかしていない今の自分に生きている価値はない。
なぜなら社会に利益をもたらしてないからだ。
3.それでも生きること・生まれることを喜ぶ世界
社会からしても僕はお荷物。その上、僕もこの世界に苦しさと辛さを感じている。これで僕が生きている意味がない論理的根拠はしっかり揃った。
でも死ぬ前に1つ疑問が残る。なんでこんな価値のない僕は生まれてしまったのだろう。そもそも価値のないものはつくらいないのが合理的なはずだ。
その答えは、きっと「快楽」と「エゴイズム」だと思う。
セックスによる快楽への欲求と子供が欲しいというエゴイズムの充足のために、世の中の人間は子供を産む。
一方で、頼んでもないのにこの世界に生まれてきてしまった僕のような「子供」は、社会のお荷物として自分自身をどのように処分するかに頭を悩ます。
親の自己中心的な所為の結果として、このような悲惨なミスマッチが起きている。
そして、その事実をひた隠すかのように、社会は出産をひいては生きることを「喜ばしいこと」「素晴らしいこと」と捉えて「死」を悲しいこととする。
本当に気持ち悪い。死にたい人間だっているし、生まれてきたくなかった人間だってたくさんいる。
だから僕は「反出生主義」を主張することにした。
4.だから僕は反出生主義に傾倒する
「君はペシミスト、厭世主義的だね。」
「生まれて嬉しいと思っている子供もいることだろう。」
そんな風に反論する人もいるだろう。
それはそれでいいと思う。
自分が生きることを、この世界に存在することを無条件に肯定できる方はこれからも結婚してバカスカ子供を産めばいい。
きっと生まれてくる子供の気持ちなんて考えたことがないのだから。
ただ、自分はそうではない。
そして、自分のように生まれてきたことの意味や生存価値に悩む同級生を幾人もみてきた自分としては、反出生主義に一定の価値を見出したい。
5.反出生主義、流行るといいな
そもそも反出生主義は、ショーペンハウエルなどの哲学者が提唱した「生まれてくること、及び産むことを否定する思想」である。
僕はこれが素晴らしい考え方だと思う。
これからの時代、未来は暗い。
生きていれば、楽しいことの1000倍くらいは、嫌なこと・苦しいこと・泣きたいこと・どうしようもないこと・しんどいこと・死にたいことに直面する。
さらに、貧困層や親に虐待を受けた子供でなくても、さまざまな理由から「生きていたくない」「生まれてこなければよかった」と考える人は増えている。
そういった人々にとって生きることは苦しみであり、そこから逃れる手段は「自殺」もしくは「生まれてこないこと」なのである。
そんな最低最悪の世界に生まれてくる必要なんてないし、そうやって悲しみや苦しみに打ちひしがれる人を減らすには、反出生主義が一番効果的だろう。
もちろん、この思想は少々尖っているので他人に押し付けはしたくない。
ましてや他人が子供を産むことを否定しようとは思わない。
しかし、こうやって考える人がいることを知ってくれたら、それはそれで嬉しいと思う。
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この記事を書いた人は
T.I
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