見出し画像

アメリカにおける大麻ビジネスに関するメモ

今日はアメリカで急成長中の「大麻ビジネス」について書いてみたい。

僕自身は大麻は過去に一、二回使った程度で、あまり熱心なユーザーではないから、個人的に興味がある、というよりは、これが「業界」とか「市場」としてどんなビジネス好機をはらんでいるのか、横目で見ているような感じだ。はじめにお断りしておくと、今日、今から書く文章も、自分の理解を深めるための「メモ」のようになると思う。

それでよければ、しばしお付き合いいただきたい。

過去20年くらいの間に、アメリカの30州以上が医療目的の利用について大麻を合法化し、また、15州程度が「娯楽」用途としても合法化している。僕の住むカリフォルニアもそのひとつだ。ここロサンゼルスでは、大麻関連製品を販売するおしゃれなショップを街角に見かけることももはや珍しくなくなった。

合法化以前にもすでに、非合法な大麻市場は米国だけで300億ドル(3.1兆円)から400億ドル(4.2兆円)の規模があったといわれている。これがどのくらい大きいかというと、アメリカの穀物市場では最大の「コーン(とうもろこし)」の市場に匹敵するくらいだ。これからどんどん合法化が進むにつれ、この市場はますます大きくなっていくだろう。

これまで、大麻というと、「ハイ」になるために、「吸うもの」というイメージがあった。しかし、大麻のもつ可能性はそれだけではない。大麻ビジネスの拡張を狙う人・企業たちは、大麻を大きくイメチェンし、「誰もが当たり前に日常的に使うリラクゼーション・プロダクト」としてポジショニングしようとしている。まあ、アメリカの場合、州ごとにこまごまとした規制も異なる中、先行きは思い描くほど簡単なものではないと思うが。

ところで大麻とひと口に言ってもいろいろな成分がある。たとえば、「ハイ」な状態を誘発するTHC、これが、吸引用のヴェイプ(電子たばこ)などに仕込まれているものだ。また、エディブル(食品)や飲料やキャンドルなどの製品にもTHCを用いたものが続々登場している。近年、ビール消費が下向きになる中で、大手醸造メーカーがTHC飲料に着目していることをここに特記しておきたい。

そして、もうひとつ、注目の成分にCBD(カンナビジオール)がある。CBDはTHCと違って、摂取しても「ハイ」にはならない。しかし、「ウェルネス・サプリメント」の分野で大いに活用できるのではないかと注目されている。その分野であれば、FDA(米食品医薬品局)の管轄外なので商品化しやすいというメリットもある。

CBDの効用については、アルツハイマーに効くとか、リウマチに効くとか、いろいろなことが言われているが、医学的な確証はまだない。効果が立証されている数少ないひとつの例で、FDAの認可も受けているのは、てんかんの治療としての効用だ。FDAにも認可されているこの治療薬の製薬会社GWファーマシューティカルは上場企業でもある。

アメリカでは約90%が医療用大麻の合法化を望んでいるし、大麻の娯楽用利用も合法化されるべきだと考える人がマジョリティ(60%)以上を占める。

2018年にアメリカの大麻ビジネス(合法)の市場規模はすでに100億ドル(1兆円)だった。これは、マクドナルドの米国における年間売上全体を上回る。

バイデン政権になり、連邦政府レベルでの大麻の合法化に向けての見通しも明るくなっている。どう考えても、今後、大麻ビジネスは大きく伸びていくだろう。「マリファナ」といえば、まだ後ろ暗いイメージが多少漂うかもしれないが、「CBD」と名前を変えることにより、潜在市場を拡大し、これまでマリファナ利用には縁遠かった人たちの関心を集めることにも成功している。

個人的にはTHCおよびCBD飲料市場に興味があるので、もし機会があれば/価格が下がってくれば、ぜひ挑戦したいとも考えている。その際にはまたあらためてレポートしたい。

後記:ついでに言うと、CBDに関しては、「ショット」と呼ばれる瓶入りのリラクゼーション・プロダクト(飲料)を、そして先日、友人にスキンケア(顔につけるクリーム)・プロダクトをもらって試したことがあるが、正直、あまりなんとも思わなかった。リラックスしたか?と問われればしたような気もするし、でもプラシーボ効果(気のせい)のような気もするし・・・。微妙なところだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?