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在庫に埋もれそうなあなたへ

精力的にイベント出展を続けてきたあなたの最近の悩みは、ハンドメイド素材や制作物が増えて部屋がどんどん狭くなっていくこと。部屋に積まれた在庫の箱はあなたの財産でしょうか?それとも悩みの種でしょうか?

このnoteは、10年前の私である「あなた」に向けて書いています。
「あなた」は売れないハンドメイド作家。
「わたし」はワークショップ歴10年のプロ講師です。

ブースが埋まらない

スイーツモチーフのアクセサリーやキーホルダーなど 小さくかわいい商品を作ってきたあなたは、ブースにボリュームがないことをずっとコンプレックスに感じてきました。

作品が小さいからいけないのかな?
そう思ったあなたは、立体的に陳列できるように什器やディスプレイ台を買いました。新しく大きな作品も作ることにしました。例えばインテリアとして飾れるイミテーションケーキです。

イミテーションケーキ置き物・壁掛け

これなら1作品で ピアス10個分くらいのスペースを埋められます。見た目も華やかで、遠くからでもケーキだと分かりやすいのもメリットです。

荷物が増えた!

が、大きな作品を作ったことで新たな悩みが生まれてしまいました。イベント搬入物が以前の何倍にも嵩張るようになってしまったのです。重さもぐっと増えました。

あまりに巨大な荷物をカートで手持ち搬入していたため、小柄なあなたは駅の階段などでよく声をかけられます。
 「お手伝いしましょうか?」
世の中には親切な人がたくさんいるのだとしみじみ感じている場合ではありません。荷物があまりにも重過ぎて、階段で他人様に持っていただくには危険なレベルです。
 「持っていただくには重過ぎるので、大丈夫です。本当すみません、、、お気持ちだけ、ありがとうございます。すみません、、」

あなたは荷物の重量でできる痣を〝搬入痕はんにゅうこん〟なんて呼んで笑っていますが、痣だらけになりながらも怪我なくイベントに出続けられるのは、若さと体力に任せたパワープレーだと大人になるとわかります。あまり無茶はしないでくださいね。

部屋が圧迫されていく!!

イベントに持って行った巨大な荷物は、あまり売れないのでほぼそのままのボリュームで自宅に保管することになります。それは賃貸の手狭な部屋を圧迫するには十分です。最近のあなたは、それが嫌で作品制作の手が進まなくなっています。

SNSの情報発信を考えればどんどん作品を作って見せたいとことですが、
「たくさん作って売れなかったら古い作品ばかり増えて嫌だな…」
「どうせ売れないのに商品増やしたらまた搬入の荷物が重くなるな…
そんな考えが浮かんでは やる気を削いでいきます。

ハンドメイド作家は楽しく制作していなくちゃいけない。SNSではポジティブな面しか見せちゃだめ。だって世の中みんなキラキラしたものが好きだもん。あなたはこれまでの活動でこう感じてきたからこそ、ネガティブな本音は誰にも言えませんでしたね。

作家活動に必要な資源

わたしは作家活動は家事に似ていると思います。
家事にはわかりやすい掃除、洗濯、料理など以外に「名前のない家事」と呼ばれるたくさんの仕事が含まれます。

ハンドメイド作家の活動も、シンプルな「作って売る」部分だけに注目されがちですが、活動をうまく回すための全体像はもっと広くて複雑です。名前のない業務がほんとうにたくさんあって、それら全部に気を配る地道な積み重ねの上にようやく「制作販売」が成り立っているのです。自分でやってみたら、簡単だなんてとても言えない大変さですよね。

作家活動の全体像とは、手持ちの資源全体を活用して利益を残す活動のことです。制作のための技術も時間も、作業部屋や在庫置き場(倉庫)の広さも、イベント出展やディスプレイ、搬入にかけられる予算も、みんな資源です。だから、有限な資源をどう使うかが大切になってくるのです。

空間の有効活用

資源を効率良く使えるほど利益が残ります。
空間も資源の1つと考えると、作品在庫に圧迫されてストレスを感じる状態は 資源を有効活用できているとは言えません。あなたは制作意欲が削がれていますし、どの箱に何を何個保管しているのか管理のコストもかかります。

ものづくりでお金を稼ぐというと「物を売る」イメージが浮かびますが、物を売るためには物を保管する空間と、空間を維持するコストが必要でした。売れるためにあれこれ作った結果 空間という資源を圧迫して苦しくなってしまったのが、10年前の私の失敗談です。

今のわたしは ワークショップに移行したことで、売れない在庫に空間を使わずに済むようになりました。ワークショップの場合 必要なのは材料やパーツです。完成品に比べて嵩張らないため空間を節約できます。また、材料を厳選することで管理の手間も省いています。お陰でイベント搬入も比較的コンパクトにできるようになりました。

正直に言えば 今でもまだ改善点はあるのですが、それでも以前よりはずっと整理された部屋で制作をしています。ゆとりのある作業スペースは気持ちに余裕を生みますし、心の余裕は作品にも反映されます。

在庫に埋もれそうなあなたへ

イベントで売れなかった作品在庫が増えてきて 保管にストレスを抱えているあなたへ。手間ひまかけて作った作品が売れなくて、家も狭くなって嫌になっちゃう時もありますよね。

決して他人には言えないけれど(SNSでも見えてこないけれど)、本当はネガティブな気持ちだってたくさん抱えて頑張っているのがリアルのハンドメイド作家だと思います。きっとあなただけじゃありません。

1人の時はたくさん悩んでくれてありがとう。ハンドメイドブームと呼ばれ始めた時期、多くの人が物を売ることを疑わないなかで、物を売らないスタイル(ワークショップ)に辿り着いたのは自分でも結構すごいことだと思うのですが、それはあなたが「名もなき業務」の小さなイライラやストレスに気付いてくれたお陰です。

気付くには時間のかかることも多いけれど、ネガティブな本音も含めて自分に素直に向き合ってみてください。ストレスのある場所にはきっともっと良くなるためのヒントが隠れているはずです。

きっとあなたなら向き合うことができるはずです。
応援しています。

わたしより


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