「禁じられなかった遊び」の話

小6男子の「最後の切り札」に相応しいものとは次のうちどれか？

①超究武神覇斬
②ドッカンバトルのアレ（知らんけど）
③バルト三国

ある日、息子が言う。

「おかーさーん」

「ん？」

「3人で、国の名前言うヤツしよー」

「おー、やるか」

「アメリカ」

食い気味に答えるかっちゃん。
　　
いわゆる……
山手線ゲーム？
古今東西？
そう……

アレだ。
（賢そうな遊びだな？）

つくねVSかっちゃん&息子連合国

初回は私の圧勝であった。

素の力では二人がコンビを組もうが、太刀打ち出来ないのはまあ、分かっていた。

しかしながら……
次の回で早々に雲行きが怪しくなる。

二人が少しずつ力を出してきた。

息子は勉強はそこそこ出来る風だし、かっちゃんは将棋とか頭使うゲームが得意で、こういう記憶系の物も、その時だけ異様に記憶力を発揮しだす。

結果は惜しくも
つくね、敗れる。

「くっそー！」

「余裕で勝ったな」

息子が得意気に言う。

「余裕ではないでしょ、途中でヒント結構もらったし……そもそも2対1だしね」

「そーだそーだ！」

くっそー。
そんなんどうでもいい。
悔しい。
くっそー。

私は本気を出す事にした。

（つくねの本気を見せてやるわ！）

息子用に買ったハズの国旗絵本を取り出し、勉強を始める私。

アカン感じの目覚め

ふむふむ……

ギニア
ギニアビサウ
赤道ギニア

（ギニアだけで三つもあるけど！？）

バヌアツ
ナウル
サモア

（はじめましての国ばっかじゃけど！）

そして、ふと気づく。　

（いや待てーぃ！！私！今こんな事やってる場合と違う！）
　

目を覚ませ！

本気を出したら、二人に勝つことは出来るかもしれんけど……

けど！
そんな事に時間費やしてる場合か！

曲！
曲を作んなきゃ！

あー……
あー！　
でも負けたくねえーーっ！！

そして……
連合国は同盟を解消。

つくねVSかっちゃんVS息子

の決戦が始まる……

いつも通り、ヨーロッパからゆるりと攻めるつくね。

かっちゃんは
「アンティグアバーブーダ」
「セントビンセント及びグレナディーン諸島」

いつも通り
「や、それ何処？」
という国を述べる。

白熱する闘い。
　
終盤に差しかかり、息子が口惜しそうに言う。

「あーあ……バルト三国は最後の切り札にとっておきたかった！！」

バルト三国を！
最後の切り札に！！

「あんたもう……何を言ってんのか……」
「バルト三国……つくねは分かるん？」
「まあ……ギリギリ言葉は知ってるくらい」
　
思わず、かっちゃんと顔を見合わせて笑ってしまう。

結局誰が勝ったんだか……
3人とも覚えてないっていうオチだよ。

多分……
引き分けだったんだろう……