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「つくね、違いの分からない女」の話

今日の現場の前にはお茶屋さんがあるんだ。
いつも気になっていたけど
寄る機会もないまま。

最近のつくねの作戦は……

「色々やろうぜ」

なので……
行ってみた。

「こんにちは~」
「いらっしゃいませ〜」

感じの良い女性があらわれた。
良い雰囲気のこじんまりとした店内をゆっくり眺めて

(うーん、右も左も分かんねぇ。聞こ)

ドキドキする前に声をかける。

「あの……ふだん使いの飲みやすいお茶はどの辺りでしょうか?」
「うーん……この辺りかな。ウチの人気のお茶よ〜」
「じゃあ、それを」
「良かったらお茶いれるから飲んでいって〜」
「わーい!」

茶葉を急須に入れる。
ポットのお湯を湯のみに入れて
少し冷まして急須に戻す。

「わぁ……家庭科の授業でこんなの習ったなー」
「はい、どうぞ」
「いただきま~す」

ゴクリ。

「わぁ……美味しい。思ってるよりぬるめなんですね」
「これくらい冷ますと二煎目も渋くないのよ」
「はー。なるほど」


そう言えば昔は良くお茶飲んでたな。

中学生の頃、母方のおばあちゃんの使ってた萩焼の湯のみがとても素敵で……

「私も萩焼の湯のみが欲しい。なんならこの湯のみが欲しい」


 
と言うとおばあちゃんは

「これはおばあちゃんので気に入ってるから、あげれんなあ」

と答えた。
すると母が

「家に新しい萩焼の湯のみがあるよ」

ワクワクで家に帰った。
箱から取り出すと

「あ!全然色が違う!」
「萩焼はなぁ……茶渋が入って色が変わるんよ」
「えぇー!?これがあの色に?すげぇ!」


萩の七化けとは、使っていくうちに見た目が少しずつ変化してくる様を表した言葉です。萩焼の土は粒が荒く、窯で焼いても締まりが少ないのが特徴。そのため、外からは見えづらい細かな隙間が沢山あり、そこにお茶やお酒が染み込んで使い込むほどに色合いが変化してくるのです。

新しい萩焼の湯のみはそれはそれで素敵なんだけど、あの年季の入った渋い風合いに得も言われぬカッコ良さを感じたつくねは…… 

それからというもの
毎朝毎晩、煎茶を飲み続けた。

しばらくすると当初の目的など忘れていた
ある日の朝。


「あんたの湯のみ、ええ色になったなあ」

 
ふと自分の湯のみを眺めると、あの時のおばあちゃんの湯のみと同じような渋い風合いの萩焼になっていた。

「おぉー……育った。カッコええ〜」


なかなか渋めの中学生じゃな。
そんな事を思い出しながら、帰宅後、お茶を淹れる。

うーん。
やっぱ……
熱いお茶がいいな。

先ほどのお店の人の教えを受け流し
熱いお茶をマグカップで飲む。

(うん。美味しいけど……やっぱ萩焼の湯のみが欲しいな)


話は変わって。

「へそで茶を沸かす」

って諺があるけども。

おかしくてたまらないこと、また、ばかばかしくてしようがないこと。 多く、あざけっていう場合に用いる。

パンチのある言葉だ。
考えた人……
センスあるな。


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