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日経産業新聞休刊に想う/抗えない奔流は何を無くし何を生み出す:山下郁雄

トップ写真:50年余の歴史に幕を閉じた日経産業新聞最終号

 「眼光紙背に徹す」とは「書物を読んで、ただ字句の解釈にとどまらず、その深意を読みとる」(広辞苑)、つまり、高い読解力を表す文言だ。コラムのタイトルに、この四字熟語を用いた某紙が、先月下旬のある日に合計六つのコラム記事を一挙に掲載した。『へーゲルの“螺旋的発展”に思う』『デジタル社会を灼熱地獄にするな』などの見出しが付いた各コラムはいずれも読み応えたっぷり。コラムライターの端くれとして、興味深く読み、勉強になる点を少なからずみつけることができた。
 ある日の某紙とは3月29日付の日経産業新聞(日経SS)。同紙2面の大半を割いた「眼光紙背 筆者たちの提言」では、リード(書き出し)部分に「連載コラム眼光紙背は本日で終了する。企業活動や国際情勢などを幅広く論じてきた執筆陣が、最終回として将来への提言を書いた」と記している。日経SSの創刊は1973年10月。2024年3月29日をもって50年余の歴史に幕を閉じた。

■時代を映すタイトルがズラリ
 日経SS最終号には、コラム「眼光紙背」のほかにも“読ませるコンテンツ”が数多く載っている。1面と終面には「日本を変える挑戦は続く」の見出しのもと、ディスコ、サイバーダイン、NCD(日本コンピュータ・ダイナミクス)、フリーなど有力ベンチャー企業の軌跡を紹介。3面には「日経SS、連載で振り返る-経営・テック革命を追った50年」と題して、経営改革、スタートアップ、先端技術といった各ジャンルの連載企画タイトルを一覧表で示している。資源回生 産業の静脈をつくる(1974年)、マルチメディア革命(94年)、ベンチャー立国への道(同)、新産業連関図(2011年)、ネット興亡記(18年)、商社進化論(20年)など、時代を映すタイトルがズラリと並ぶ。

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