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『家事は大変って気づきましたか?』(阿古真理・著)

 岸田総理の国会答弁(産休・育休中のリスキリング・学び直し)が“炎上”し、話題が広がっています。質問した自民党、そして答弁した政府(総理)の思考が、子育て世代と“ズレ”ていることを認識していないようです。さらに、それに気づくことなく「良いことを言った」姿勢が受け入れらません。


 このニュースを聞き、以前の「ポテサラ論争」を思い出しました。
 皆さん、覚えていますか。

 2020年の夏、SNSへの投稿に端を発した話です。
 スーパーでポテトサラダを手にした幼児連れの女性が、高齢男性に「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われていたという投稿でした。

 新型コロナ禍により家で食事をする機会も増えるなか、毎日料理を作ることの負担も高まっていますが、普段あまり料理をしない人には、その大変さが今一つ分からず、誤解をされ・誤解をしがちです。
 こうした“料理をつくる”ことをテーマにした西友の動画『食卓の誤解(下部に掲載)もありました。ご覧になったことありますか。どう思われましたか。


 この論争をきっかけに、料理をはじめ家事など“日本の家庭の当たり前”のように残っていることの見直しが、“少し進んだ”かもしれません。
 この『家事は大変って気づきましたか?』(亜紀書房・刊)は、“家事”について、その歴史や価値、意味、そして“これから”を考えささえてくれます。

  《村井理子さん、推薦!》
 ずっと苦しかった。泣きたい気分だった。
 そんな私の気持ちを受け止めてくれた一冊だ。
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 ──時代が変わっても、家事はラクになっていない!
 なぜ家事は女性の仕事だったのか?
 明治から令和まで、家事と仕事の両立を目指してきた女性たちの歴史、それぞれの時代の暮らしと流行を豊富な資料で解き明かし、家事に対する人々の意識の変遷を読みとく。
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 家事のモヤモヤをときほぐし、共働き時代の新しいパートナーシップのかたちを考える。(出版社紹介より)

 本書は、HUFFPOSTやFRaUの連載を中心に、新たな記事を加えてまとめられています。
 本書の“1つのまとまり”は、連載の1本1本が長文のためか、文字が小さ目で“長く”感じました。読み進むのが難しく、すべては読み切れていません。

 図書として6章に整理されていますが、各節は連載された記事なので、章や順序に関わらず、気になる項目、内容を選んで読んでいくのもよさそうです。

 家事のムーブメントが加速したのが、2016年10~12月放送の連続ドラマ『逃げるが恥だが役に立つ』(TBS系)である。そして2017年には(略)

 話題となったドラマ、若い男女の恋愛物語でした。この二人の関係は、「パートタイムの家事代行スタッフとして雇う・雇われる」ことから始まります。
 そのために、内閣府の調査結果などを参考に「家事の費用、給料」を検討し、算出しました。

 こうした動きが、“伝説の家政婦”とタサン志麻さんをマスコミが紹介することに繋がったでしょうし、ドラマ『私の家政夫ナギサさん』では“おじさん”が派遣されています。
 「かせいふ」は、女性の仕事とは限らないのです。

 家事にまつわる「あんなこと」「こんなこと」について、あなたの見方や価値観をアップデートし、行動を促すことでしょう。

 家事を通して、それぞれの生活、ケアについて、今までとこれからを問い直す一冊です。
 みなさんにお薦めです。


   目次

はじめに
第1章 家事とお金のままならない関係
第2章 「家事=妻の労働」になったのは昭和時代だった
第3章 昭和・平成・令和 食事づくりの現場で
第4章 家事を「大変!」にするのは何?
第5章 シェアするのは難しい?
第6章 ケアと資本主義
おわりに
主要参考文献


【関連】
  ◇阿古真理(note)
  ◇阿古真理(HuffPost)
  ◇大人のためのカテイカ(FRaU)


【「食卓の誤解」 #料理を手間抜きに
  ◇料理を手間抜きに。 | 食卓の誤解を解消する | お惣菜(SEIYU)
  ◇これが私たちのアンサーだ! お惣菜を使って「 #料理を手間抜きに 」(エスビー食品)
  ◇・・・ 「食卓の誤解」。(2020/11/19 集団「Emication」)


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