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『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』(岡本雄矢・著)


 書店で見ていると、長い書名の本がいろいろあります。題名の長さが気になって手にした『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』(幻冬舎・刊)です。
 この題名は「短歌」でした。


 作者は“歌人芸人”のスキンヘッドカメラのメンバーで、ちょっとした不幸に見舞われる日々を“三十一文字(みそひともじ)”で描いています。

 誰にでもあるこんなトホホ、あんなトホホ。
 でも、ここにあるのは、とびきりのトホホ。
――あなたに明日笑ってもらうために、世界の片隅で、僕の不幸をつぶやいてみました。
 “歌人芸人"による、フリースタイルな短歌とエッセイ。

 表紙を開くと、「まえがき──僕の不幸を短歌にしてみました」があり、続いて短歌が4首、次の短歌からエッセーが添えられています。

 『左手に見えますホストに座られているのが僕のスクーターです』

 誰に語ってる…、ホストが何で…、僕はどうした…

 これは、“不幸の手紙(不幸をお届けしちゃうやつ)”ならぬ、“あなたの不幸をちょっとずつ吸い取ってさしあげる本”です。
(略) 生きるのって難しいなと、いつも思っています。言いたいことが言えなかったなと、昨日も思ったし、今日も思ったし、明日も思うでしょう。
(略) あなたに明日笑ってもらうために、僕の不幸を短歌にしてみました。

 短歌の読んで思ったこと(感じたこと)が、エッセイを読んで、「そんなことある?」「わはは…」…ちょっと変わります。

 他人の不遇、不幸を楽しんではいけないでしょうが、“芸人の自虐的ユーモア”を楽しみ、笑えます。その笑いで、今の不幸や残念が軽くなります。

 気になる短歌から読んで楽しみましょう。



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  ◇スキンヘッドカメラ岡本 (@yuyaokamoto1984)(Twitter)

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