吃音の自覚

僕が自分の吃音を初めて自覚したのは、小学1年生の時でした。
今でも鮮明に覚えています。


僕の通っていた小学校は田舎の小さな学校だったのですが、
毎学期の始業式と終業式に各学年の代表者が
「○学期に頑張りたいこと」みたいなものを発表する時間がありました。
(どこの学校でもあるかと思いますが…)

小学1年生の時、僕はその代表に選ばれ全校生徒の前で発表することになりました。
台本も覚えたしカンペも持っていました。
今思えば小さな学校だったので大して人数も多くありません。
しかし当時の僕にとってはもうドキドキでした。
初めて大勢の人の前で話すのにビビってかなり緊張していました。

1年生なので発表順も最初。
緊張していたけれどなんとか話し始めることができました。
台本通りスムーズに読めていました。
途中までは。


「たたたたたたたたたたたた」

突然、「た」を連発してしまいました。

あれ、次の言葉が言えない。
何度やってもはじめの文字の「た」を何回も繰り返してしまう。
どうしよう。全然言えない、苦しい。

自分でも訳がわからなくてパニックになってしまいました。

何回もトライしていると、
「ぶふっw」と吹き出して笑う声が聞こえてきて、
それを皮切りに会場にドッと笑いが起きました。

僕は恥ずかしくてたまらなくなってただただパニック。
目に涙が溜まりすぎてもう生徒の顔もよく見えませんでした。

なんとか「た」を凌いでとりあえず発表は終えることができました。
でももう他の人の発表なんて全く聞こえません。

どうしちゃったんだろう
みんなに笑われて恥ずかしい
どうして変な喋り方になったんだろう
友達や先生からなんて言われるんだろう

自分の席に戻った後も、頭の中でぐるぐる考えて笑われたシーンを思い出しては
目に溜めた涙が溢れそうになるのを必死に堪えていました。


その後、校長先生のお話で、校長先生が
「あんなに頑張って素晴らしい発表をしてくれた、それを笑ってはいけない」
と皆を叱ってくれました。
僕はそれを聞いてボロボロ泣きました。


今考えると、小学生に吃音の理解を求めるのは難しいし、喋り方がおかしいと笑ったりからかったりするのは仕方の無いことだとも思います。
校長先生が僕を庇って皆を叱ってくれたことも有難いことだと思います。

でも当時の僕にとって本当に大きな事件だったし衝撃でした。
確実に、僕の吃音の最初のトラウマになりました。
大学生になった今でも、あの時のことははっきりと思い出します。


これ以降、僕は自分の吃音について強く意識するようになりました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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