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映画『イカとクジラ』怖い展示の思い出

両親の離別により、両方の家で半分ずつ生活するようになった、兄弟の日常と、その夫婦の関係を描いた作品です。「フランシス・ハ」「マリッジ・ストーリー」のノア・バームバック監督・脚本。2005年製作。アメリカ映画。監督の子供時代の実体験をもとにしているそうです。

1986年のニューヨーク・ブルックリン。落ち目の作家バーナード(ジェフ・ダニエルズ)と新進作家の妻ジョーン(ローラ・リニー)は離別を決意します。16歳の兄ウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)と12歳の弟フランク(オーウェン・クライン)は、共同監護のため、父母両方の家で生活しなければなりません。落ち着かない生活の中、色々な問題が出てきてしまいます。

兄ウォルトを演じたジェシー・アイゼンバーグが若々しい。物事をちょっと止まって考える時の表情が自然です。凄く良かったです。

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両親が大喧嘩した翌朝、「学校から帰ったら話がある」と兄弟は告知されます。

もう、嫌な予感しかない。一日中、気もそぞろです。

帰宅したら、家族4人で集まり、父親が口火を切る。

もう、話す前から弟の方は、顔がゆがんで泣きそうなんですよ。

そのシーン、上手すぎて辛くて観るのやめようかと思いました。

ただ作品は、淡々としていて全く暗くないです。

私はもう少しこの夫婦に共感する予定だったのですが、だめでした。

妻の不倫話をわざわざ兄の方に聞かせたり、養育費を節約するため共同監護にした、と子供たちの前で叫んだり、大人げなく不快でした。

私自身、大人げない大人なので、余計に彼らを好きになることができなかったのかもしれません。

それでも、子供たちはどちらの親にも優しかったです。しぶしぶでも親の家を行き来し、落ち目の作家の父の事を「パパは高尚すぎて売れない」て言ってみたり。

兄のウォルトはピンク・フロイドの「Hey You」をコンクールで弾き語ります。自作の曲だと嘘をついて。コンクールでは素晴らしいと賞金までもらうのですが、もちろんすぐにばれてしまいます。

セラピーを受けることになったウォルトが話したのは、母親との思い出でした。

まだ弟が生まれる前の6歳の頃、母親と二人でパーティーを抜けて映画を観た思い出。一緒に抜け出したことが嬉しかったこと。その後、自然史博物館で怖い展示を見たこと。それが、イカとクジラの格闘で、指の間からやっと見れたこと。家に帰ってからの母親の話がとても楽しかったこと。

「怖い展示」っていうのが、すごくいいですね。

ウォルトはもう一度、今度は一人で自然史博物館の展示を見に行きます。

16歳の彼はイカとクジラの格闘を見て、どう感じたのでしょうか。

映画は何も結論を語らずに終わります。

日常の小さな事件を描いただけの短い作品ですが、兄弟の演技と音楽、そして脚本が素晴らしかったです。



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