ハーゲンダッツとわたし
なに?チョコモナカジャンボ?コンビニで買うと
1個200円くらいするけど、いいの?
そう聞くと父から千円、渡された。
じゃあ5個買ってくるわ。
私はそれと、使いたかった割引クーポンで
ハーゲンダッツを買う。
アイスクリームはコンビニで買うよりも
スーパーで買うほうが断然に安いのだが スーパーで買う時ってのは冬以外は保冷剤を用意して
おかないと家に着くまでに溶けてしまうことあり、なのでついつい近所のコンビニで買うことが多い。
私はハーゲンダッツの新商品を、
父はチョコモナカジャンボを半分、母と分けて
食べていた。ちなみに半分こは夫婦が仲良しで
半分こ、なのではなく
「年寄りが丸々1つ食べるのは身体によくない」
というこの夫婦の持論?からである。
「ハーゲンダッツって
群馬で作っているんだってよ」
えっ?お母さん…その情報、遅くね?
もう群馬県民なら当たり前に知ってないと。
言うならば世界で3つの工場のうち1つが群馬よ。
「ふうーん。お母さん、ハーゲンダッツ
食べた事ないなぁ」
(えっ、絶対に嘘。昔、ハーゲンダッツ半額の時 まとめ買いしたの冷凍庫に入れておいたらしれっと食べてたやん)
この頃、母は老いとかボケを都合よく使ってくることがある……。のは分かっているけれど。
さっきあれだけドヤっておいてケチるのは群馬県民としてモヤモヤする。
あー、じゃあ保冷剤持ってベイシアで
買ってくるわ。それからベイシアにて。
んー、ラバーズアソートかぁ。
まぁ、ハーゲンダッツ初心者(疑惑)にはシンプルにこれが良いか。まずはバニラを食べてみるのが
良いよな。
翌日、それぞれに朝のルーティンをこなしてから さて、お茶にでもしますか。という時に
母にハーゲンダッツを出した。
「あー、見たことあるかも?!」
ほらみろ…。お父さんにもあげよう。
そして父にはクッキー&クリームを渡した。
お父さん!これはお値段の良いアイスだからね!
じっくり味わって食べなさいよ。
普段はシャーペンの芯みたいな目の父が見開いた
目でスプーンで掬い、一口。「うまいな〜」
でしょ~!まぁ、お父さんの好きなチョコモナカ
ジャンボはサクッと 食感が美味しいけどね。
こんなふうにちょっとリッチな気持ちになりながら実家でアイスクリームを食べていると
昔、小学生の時の家庭訪問だったと思うが冷凍庫にビエネッタが入っていたことを思い出す。
我が家の居間に担任の先生がいる不思議な心地と。それから台所に行くとうねる波のように装飾されてバニラとチョコレートの断層の長方形が箱から
出されていて、菜切包丁を入刀するとパリパリパリって小気味よくチョコレートの割れてゆく音。
滅多に見ることのない台所の光景に
ちょっとちょーだい!と言おうかと思うと
「先生が帰ったら、だからね」と ピシャリ。
ビエネッタはお客さんが来た時とかも登場したが、家庭訪問の日の印象が濃い。
こんな食い意地の張った話を綴っていたら
思い出したのが雪見だいふくだ。
よく伯母さんから「ちえはおとうと思いの
お姉ちゃんなんだでぇ」と聞かされた。
私が家の前の道で遊んでいると伯父さん
(伯母さんのご主人)が車で通り
「ちーちゃん、アイスクリーム買いに行くか」
とか声をかけると助手席に乗りスーパーに連れて
行ってもらってアイスクリームを選ぶのだそう
だけど、そうすると雪見だいふくを選んで
「ゆーくんのも」と言って2つ取るのだそうだ。
それを見て伯父さんは良いお姉ちゃんだと
感心したらしい。が、私からすれば雪見だいふくは大福が2つ入っているんだから、
それ姉弟で分け合えよ。食い意地の張った子だな!と子どもの私に言ってやりたい。
こんな食い意地が張っているのは…。
「ちえ、あの旨いカップのアイス持ってきてくれ」父はえらくハーゲンダッツが気に入ったらしく翌日も所望するのだが
「もう働いてもいないお年寄りに高価なアイスをあげることはありません」
と母がピシャリ!
わたしにはこの人たちからの血が流れているのだ。
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