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日本、アメリカ、非正規雇用それぞれ

就職氷河期で、新卒で入った会社を3か月辞めて以来、
非正規雇用でほぼ働いてきた。
いや、正規採用で働いていた期間もそれなりにあった。
ただ、薄給のブラック企業だったので、
非正規雇用で働いていた時よりも、暮らし向きは悪かったので、
あえて含めないでおく。

そんな生活を数年しつつ、カナダを経てアメリカで暮らし始めたわけだが、
ニューヨークで暮らした8年間、やはりずっと非正規雇用であった。

前述したように、日本で非正規雇用で働いていた時は、
さほどデメリットは感じなかった。
(まあ、優良企業であったりしたら違ったのだろうけれど)

しかし、アメリカの場合、非正規雇用である、ということは、
家族がいてその扶養にでも入っていない限り、
健康保険に入れないということを意味する。

正確に言えば、別に非正規雇用であろが、自営であろが、
高い保険料を自腹で払う余裕があれば、もちろん健康保険は持てる。
だが、私のような正規雇用で雇われない負け組は、そもそもそんな金はないということなのだ。

日系企業にリストラされて、看護学校に通い始めた時に思ったのは、
看護師になったら、不況でも就職に困らないだろう、ということだった。
なので、数百万の学費の全額ローンを組んでも、全然余裕だったのだ。
…卒業後に、現実を知るまでは…

不景気でも巷には看護師の求人は星の数ほど出ていたけれど、
その全ては経験者のみ対象で、新卒の看護師の求人などどこにもない、
という、まさかの現実だった。

看護師になったのに、免許をとっても半年も仕事がみつからず、
やっと見つかったその仕事も、週2日勤務の非正規勤務とういう、
あまりにも過酷な現実を突きつけられたのである。

看護師なのにどうして?
何のために、ローンしてまで看護学校に通ったのか?
そんな風な自問自答が止まらなかった。
まるでAV女優になったのに、マグロ漁船に乗ったのに、
食うに困っているのと一緒じゃないか…
そんな風に思えて仕方なかった。

数年かかって、週2日から週5日まるまる働けるようになって、
薄給ながらも、なんとか一人暮らしはできるまでにはなったが、
看護師であるというのに、健康保険はずっとないままだった。
その間、大病や大怪我に免れていたのは幸いだった。
残業しても、残業手当はつかず、有休ももらえなかった。

健康保険、そして有休や残業手当がもらえる正規雇用の仕事につけたのは、
その後、NYを離れてからであった。

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