茜色の魂
__細くねじれた和紙を持つ指先がふるえていた。一瞬でも気を抜いたら、あなたの温度に溶けてしまいそうで。
夏の終わりの夕焼けみたいな茜色の魂を燃やして、あなたに焦がれているの。今夜が最後なら、このまま燃え尽きてしまいたい。
__夏の夜に浮かぶ茜色の残り火は、まるで僕たちの魂みたいだ。君は忘れてしまっているけど、かつて僕たちはひとつだったんだ。この地球に落ちてくる前までは。
きっと今夜、君は思い出す。僕たちの本当の姿を。君と僕の、答え合わせの夜になる。
僕たちは、それぞれにいくつもの過去世を生きてきた。いつも何かが足りなくて、うんざりする程の寂しさを抱えながら。
ぼんやりと幸せだった人生もあったし、すれ違いばかりで虚しい人生もあったね。
そして今、地球最後の僕たちを生きている。
まるで線香花火みたいだ。
最初はまんまるだった火玉が、細い火花になって枝分かれしていくふたつの人生。
やがて火花は丸みを帯びて、散りゆく菊の花びらのようにちりちりと舞い落ちる。
そして最後の最期は、世界に堕ちてひとつになる。
最後の地球を生きる僕たちにとって、
この夏が、この瞬間が、すべてだ。
茜色の魂 / 月乃
秋さんの素敵なコラボ企画に
参加させていただきました。
果たして趣旨にあっているのだろうか?
ちょっと心配ではありますが…>_<
どうぞ宜しくお願いいたします♡
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