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やっぱりモニカ・ヴィッティが好きー映画『太陽はひとりぼっち』

 突然ですが、皆さんはどんな女優さんがお好きでしょうか。年代によっても様々だとは思うのですが、私がいままでに女優さんが目的で映画を観ていたのはモニカ・ヴィッティただひとりです

彼女が活躍していたのは、1960~70年代。ミケランジェロ・アントニオーニ監督のミューズ、クールな瞳から漂う色香がなんともいえない素敵な方です。

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 私が最初に彼女の出演する作品に触れたのは、『L'Eclisse 太陽はひとりぼっち』(1962年)でした。アラン・ドロンとの共演作品で、1962年カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞しました。

 婚約者との別れの後、悲しみからくる倦怠感から抜けられないヴィットリア(モニカ)。ある日証券取引所で忙しく働く証券マンのピエロ(アラン)と出会い、お互いに惹かれあってゆく。


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 映画の中で、ポートネックの服を何着も着るモニカ。そこからちらりと見える鎖骨や肩、腕の柔らかなラインがセクシー。風の強い屋外のシーンで、彼女の髪はボサボサになっているにも関わらず、それがさらに彼女の表情に魅力を加えているようです。
 気だるい雰囲気のなか流れるMinaによる主題歌「L'eclisse twist」もかっこいい。

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モニカのように現代的な女優は、ほかに思い付きません。モニカは驚くほど表情豊かです。あのような表情豊かな顔を持っているのは、僅かな女優だけです。彼女は自分自身の個性的で独創的な演技術を備えています。

ミケランジェロ・アントニオーニ 『プレイボーイ』誌(1967年11月号)

 私生活でも恋人同士だったアントニオーニとモニカ。深読みするつもりはないけれど、当時宗教的理由で結婚できなかった二人の悲哀や倦怠がモニカ主演のアントニオーニ作品には共通し流れているように感じます。

一見無感情な振る舞いの中に、秘められた情熱がほとばしる、クールな表情に一瞬のはにかむ笑顔。

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 寡黙な中に見え隠れする彼女が隠している「何か」をみつけたくて、スクリーンから目が離せなくなるのです。けれども同時に彼女の魅力について語ろうとすること自体が不毛な気がしてしまうのです。
きっとそれが彼女の比類なき魅力なのだと思います。






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