見出し画像

いきの構造 覚書

内包的意味

徴表1・異性に対する媚態、異性との関係であり、異性の征服を仮想目標とする。異性が完全なる合同を遂げてそれは消滅する

徴表2 意気すなわち意気地(気概)
江戸っ子の気概すなわち、野暮と化物とは箱根より東に住まぬこと。また、異性への一種の反抗
江戸っ子とは、武士は食わねど高楊枝、宵越しの銭を持たぬ。理想主義の生んだ意気地によって媚態が霊化されたのである。

徴表3諦め
運命に対する知見に基づいて執着を離脱した無関心。諦めに基づく瀟酒.

媚態の二元的可能性である色気や艶を意気地によって限定する事で媚態に光沢を持たせ、望ませる。媚態と諦めとの結合は、自由への帰依が運命によって強要される

理想性と非現実性によって自己の存在を実現する媚態としてのいきの定義とは「垢抜けして(諦め)張りのある意気地)、色っぽさ(媚態)」


外延的構造
上品、派手(葉出)、渋味



上品ー下品(対自的、価値様態)
上品に或ものを加えるといきになり、さらに加えてあるていどをこえると下品になる

派手(葉出)-地味(大地の味) (対他的非価値、様態)
自己から他に出て行くものが派手
それぞれは本来非価値であり、積極的か消極的か
いきは積極的な派手に類するが、諦めは地味のうちのさびに現れる

意気ー野暮
異性性への価値的様態
意気は気象であり、世態人情に通暁すること
野暮は野夫の音転、すなわち世態に通じない

渋味ー甘味
異性性への非価値的
渋味は、消極的。柿が烏に対して自己を保護するものであり防御
甘味とは、下心持つものが提供する甘言、甘茶である。
渋味は地味と類するが、異なるのは回想を可能にする点、渋味は甘味を持つ点
甘味→いき→渋味となる

人としては上品で、派手であれ
異性に対しては意気であれ、渋味であれ



さび 寂びと
O、上品、地味の作る三角形と
P、意気、渋味の作る三角形である。
=有価値でありながら消極的

雅とは
上品と地味と渋味の作る三角形を底面とし、Pを頂点とする四面体
=一般性の有価値でありながら自己に消極的で、異性に対しては、時間をかけた消極性

とは
甘味と意気と渋味の三角形
=甘味から意気を通り、渋味になる異性的な運動

乙とは
甘味と意気と渋味の三角形を底面とし、下品を頂点とする四面体
=異性に対する成熟の運動を経た、一般的な反価値


きざとは
派手と下品とを結びつける直線上に位置している
=一般的な反価値であり、一般性への積極性


いきの自然表現
全身に関しては、姿勢を軽く崩す事が、異性へ向かう能動性、および受動性を表現する
また、うすものを纏う事が、透かしによる異性への開放と覆いによる封鎖として現れる。
湯上がり姿もある。裸体を回想として近接の過去に持ち、あっさりした浴衣を着ているところに断絶がある。
姿が細っそりしていること。細長い形とは、肉の衰えを示すととともに、精神、霊の力を宿す。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?