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写真日記

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2023年2月の記事一覧

不便

不便

住み良い環境に慣れてしまうと、何を以て住み易いとするのか理由を見失い、過剰な便利さに囲まれていないと満足できなくなる。高い水準の便利さを獲得するには相応の対価が必要で、それを支払い続けることこそが現在の経済活動における基本的価値観とされている。刷り込まれた価値観に従うことが必ずしも自分のためになるとは限らないと気づいた時、ようやく見える景色がある。そのために不便さを受け入れる必要があるならば喜んで

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未知

未知

未知の領域に踏み入るには勇気と覚悟が必要で、それらを持ち合わせているかは変わらない意志、方針や目的があるのかで判断できる。自分の行動理念を維持する上で同じ場所に居座ることが悪手であると感じた時、ようやく次の一手に対して積極的に動けるようになる。その中で新たな感覚を得た場合、行動理念が効く範囲の拡大を自覚する。

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1/40s

鮮度

鮮度

欲を受け止める器は決して溢れることがない。勢いよく注いでも、ひっくり返しても欲はそこに在り続ける。そして、注ぐ量に応じて同量が底から抜けていく。満たし続けることの価値が分からなくなると、空である方が楽なように思えてくる。しかし、欲は消えることはなくとも腐ることはあるものだ。注がなければ底から抜けるだろうと高を括っていると、いつの間にか腐乱した欲を抱えているなんてことがある。消費を抑えることこそあれ

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浮遊

浮遊

不安定であることは案外悪いことではないのかもしれない。極端で特徴的な性質は頭ひとつ飛び抜けた個性として誇るべきものである可能性がある。それは特殊な領域に踏み込んだ時にようやく観測し易くなる。逆に言えば一度踏み入れると往々にして目の当たりにすることができる。世間で風潮される安定の中でぼんやりと時を過ごすくらいなら、浮遊と錯覚されるほどの不安定さを内包する個性を磨いていく。

ISO100
f6.3

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裏表

裏表

何か物事を判断する時は事実はもちろん、その裏に潜む事由にも目を向けなければならない。夢や希望といった未来への期待は裏表のない静寂の中でしか抱くことができない。少しでも精神に波が起きて、物事の成り立ちを見失うと、とんでもない勘違いを起こしてしまいそうで不安になるからだ。だからこそ常に機会を求めて移動し、冷静を維持しようとしている。

ISO100
f4.5
1/2000s

悪天候

悪天候

天候に行動が左右されることはなくなったと自負していたが、そう在れたのは悪天候でも機能する選択肢に恵まれ、それが及ぶ範囲内でのみ行動していたからだと理解した。行動目的や手段を自己完結できるようになった一方で、背負うリスクまで増えて尻込みしてしまうことがある。リスクが相対的に小さく見えるほど大きな目的があれば立ち上がることができるかもしれない。

ISO100
f6.3
1/40s

博打

博打

何をしていれば自分の欲を満たすことができるのかは大体理解しているつもりだ。今はそのために必要な条件を揃える過程にある。想像を現実に昇華し始めると同時に、自分の興味がより深い所へ向かおうとしていることに勘づいた。その動向に対して確保した条件を保持し続けることは適切なのだろうか。今を満たす条件を持続するために要するコストを未来に繋げることは一種の博打だと考えられる。どうせ賭けるなら自分の欲を満たすため

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励起

励起

偶然の中で物を見て触れる機会は減り続けている。日常で得る情報量は増え続けているが、ほとんどが不要で感性を刺激することもない。自分で得ているつもりでも、その裏に他者による選定が組み込まれているなんてことがザラだ。外部からの刺激を得て、新たな感性や思考回路を励起させるには現実世界を無造作に彷徨うことが最も適するのではないか。

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1/125s

敬意

敬意

側から見て辛くて苦しいことに対して心血を注ぎ続けることができる人間には敬意を表する。彼らには彼らなりの理由や目的があるのだろうが、行動そのものを自己肯定としていなければ継続することはできないのではないか。大変そうだから応援するのではない。同じ選択をしていないというだけで、理解されにくいことに価値を置き、続ける姿勢が自分にも存在すると思い、他人事ではないように感じている。

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言葉

言葉

人の言いなりにはならない。どんなことも自分の意志が向いていなければ身につき難く、仮に何かを得たとしても、整った環境でしか使い物にならない。自分にしか分からない感覚と論理は他者と交えるには効率がすこぶる悪いが、独自の解釈を得るには一番手っ取り早い。人に従って、何も分からないまま時間を消化するくらいなら、理解されずとも自分なりの言葉を探し出すことに全霊を尽くす。

ISO100
f5
1/500s

新芽

新芽

厳しい寒さが過ぎた頃、新芽が咲き、生物が活動するための準備が開始される。それに気づいた人間は「もう冬は終わりか」と、まるで自分は影響されていないかのように春に備えて身支度をする。事実として人間は一年を通した活動を可能にしているのだが、それが休眠を必要としない理由にはならない。人間社会特有の中身のない風習や等級、理不尽な格差と平等主義の共存による疲弊に苦しみ、冬を抜け出せない者の存在は誰しもに心当た

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必然

必然

今何が見えているのかを考え続けることが景色を観るには必要だ。走る子供の前後には親がいるし、水面を眺める水鳥は飛び立つ直前だと予想できる。動きや音を追いかけたり、立ち止まって影を探したりして法則が見つかると、景色を独占しているようで気分が良い。偶然を必然だと思えるようになった時、同じ景色を見て何を感じるのか、その変化を時間をかけて確かめたい。

ISO100
f3.2
1/1250s

出身

出身

出身地を問われた時、何もない所だと卑下することが通例だった。当時の自分を振り返ると大変恥ずかしく、情けない。離れたことで募らせた想いは愛着として色褪せたものに向いている。きっかけは東京を散策している最中にあり、巡り合わせが無ければ交わらなかったと断言できる。実際に目で見て触れて感じることは、こびりついた固定概念を瓦解させ得るのだ。個々の趣向に合わせた広告や設計ばかり参考にしているくせに何もないと簡

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畜生

畜生

過剰な反発心を露呈しないように抑え込み続けるだけでも大変な労力を要する。社会の畜生である自覚を抱いた時、無力感に蝕まれるのか、そんなものだと割り切れるのかという岐路に立つ。目前の幸福を断じて認めない姿勢でいると不幸な道に迷い込んでしまうだろう。かと言って、畜生である自覚がない者や、広大な放牧地と清潔な畜舎を用意された者に倣って易々と幸福を認めるのも己を見失うことと同義だ。柵の外にも内にも純粋な自由

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