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望まない孤独【63】

「孤独担当大臣」2021年に設置。知ってた?!

そのきっかけになったのが、この本の著者、大空幸星おおぞら こうきさんの設立したNPO法人あなたのいばしょなんだそうです。あなたのいばしょは、日本で唯一、24時間365日利用できる相談窓口です。しかも、電話ではなく匿名チャットで相談できます。電話が超苦手な私のような相談者には、ありがたいシステムです。
大空さんは、内閣官房孤独・孤立対策担当室HP企画委員会の委員でもあり、現役の慶應ボーイ(今でも言うのかしら?笑)。だけど、いわゆるお坊ちゃんではなく、著書の中で語られる生い立ちは壮絶なものでした。その地獄のような生活から抜け出すことが出来たのは、高校の恩師のおかげだったと言います。その経験があって、孤独な人を救うため、あなたのいばしょを設立したそうです。

孤立と孤独

「孤立」は、自ら選んで一人になること。「孤独」は望まないのにいつの間にか陥ってしまうこと。そして、自分が孤独だということに気付かないこともある。「生活は充足している。でも、なぜか死にたい」という状態など。
確かに私は孤立しがちだけど、『この話題には着いていけないな…』と感じた瞬間、周りをミュートして別の事を考えてたりするので、この時は自ら選んで孤立していると言えます。ある時期、なぜか無性に胸がモヤモヤして泣きたくなることがありました。仕事もあり家族もいて、充実している筈なのに…と、不思議に思ったけれど、あの時がまさに孤独に陥っている状態だったんじやないかと思えてきました。ひとりぼっちじゃなくても、孤独になるんですね… そういえば、前に読んだ本にも老人の自殺者は、独居じゃない場合が多いと書いてありました。家族の中で孤独に陥ってしまったのでしょう。

懲罰的自己責任

相談者の多くは、孤独に陥ったのは自分に非があるからだと思っているそうです。自業自得という言葉は古くから存在しますが、「己の人生の責任はすべて自らが負うべきである」という考え方は、最近のものなんだそうです。けれど、今や子どもでも「自己責任」という言葉を使うようになっており、その浸透力の高さに驚きます。そして、この考え方は、自己否定のループに陥るので、そこから抜け出せるように相談員は細心の注意を払って臨んでいるそうです。

ワードマップ

いちばん興味深かったのは、ワードマップでした。相談が寄せられた内容のうち、最も出現頻度の高いワードが中心に、大きく濃く表示されます。頻度が低くなる毎に外側へ小さく薄くなっていくというもの。
1回目の緊急事態宣言期間中のワードマップは、中心が「コロナ」でダントツの大きさ、次は「不安」です。2回目、3回目は中心が「死」に置き換わり「コロナ」は端っこに追いやられました。そして4回目、「死」のまわりは「学校」「友達」。3回目まで目立っていた「夫」が消えたことから、相談者中、学生の割合が増えたことが分かります。また、筆者が注目したのは「ありがとう」というワード。1回目、2回目では頻繁に使われていたのに、3回目は小さくなり、4回目にはついに消えてしまいました。この「ありがとう」は、相談員に対して使われたそうです。4回目の緊急事態宣言下の相談者は、聞いてくれる人に対して感謝を抱く余裕もないほど追い詰められていたのでしょうか… 子供と同世代の若い人たちが、こんなにも苦しんでいた事に心が痛みます。

『孤独な日本のわたし』

大空さんを知るきっかけとなった番組

とても良い内容なので、こちらもぜひ観てもらいたいです。

あなたのいばしょHP

相談者は、子どもや女性が多いけれど、自殺者は中高年の男性の方が多いそうです。責任ある立場にある人が、誰にも相談することができず、懲罰的自己責任論に嵌り独りで悩み苦しんだ挙句、死を選んでいるとのこと。
福祉相談窓口のHPなどは、優しいピンクを基調としたものが多い中、女性を強くイメージさせないブルーやオレンジを使っているのは、男性の利用を忌避させないという意図があるからなんだそうです。

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