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死の雑学〜舌を噛み切っても死ねない理由 【20】

【感想・行動】
元監察医が経験した「死」に纏わるエピソードと、そこから元気で生きるにはどこに気をつければ良いかが書かれています。ここに書くのは憚られるような内容もあったりして…でもどれもこれも非常に興味深い内容で、ガッツリ読んでしまいました笑

中でも刺さったのは「老人の自殺の原因が病苦ではない」という話でした…

自殺する老人は、独居よりも同居の方が圧倒的に多い。家族の中で疎外され、耐えられない孤独を感じている老人が首を括る。
家族に自殺の原因に思い当たることがないかと尋ねても、納得のいく答えは返ってこない。結局、真相は分からないまま監察医が「病気を苦にした自殺」という嘘の診断書を書く。

孤独とは、独り暮らしが孤独なのではない。信頼する身内から一人だけ除け者にされる、その寂しさが老人にとって耐えられない本当の孤独なのだ。
傍から見ると孫がいる三世代同居は幸せそうに思えるが、崩壊してしまった家庭の老人は気の毒だ。老人の自殺における本当の動機は病苦ではなく、家族のなかに潜む冷淡さなのである。


「死の雑学」とは関係ないところで興味深かったのは、「性転換手術」に関する記述でした。

「性転換手術」は不適切な表現
正確には、男の場合は去勢手術、女の場合は卵巣除去手術となる。
これは見た目だけ体の一部を整形手術したに過ぎず、本質的な性転換が行われたわけではない。医学的には男でも女でもないから中性手術と呼ぶべき。
DNA鑑定をやれば染色体には変わりがない(元男性にはY染色体が存在しているし、元女性にY染色体は存在しない)から、実質性転換は不可能。よって戸籍を変えるのはおかしいと言わざるを得ない。

「とりあえず見た目だけでも男が女になるんだから性転換でいいじゃないか」という人もいるが、そうではないということをわかってほしい。巷でそういう言葉が頻繁に使われ、いつしか一人歩きしているに過ぎないのである。これは医者の責任ではない。そういう言葉を流行らせてしまったジャーナリズムの責任だ。

#読書記録  #自分軸読書 #死 #性転換