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ブルーピリオド15巻の感想補足~結婚について~

15巻は死について考えるものだったけど、「結婚」という制度を新たな視点で考えるきっかけもあった。
八雲たちは真田の絵が売られることにずっと反対していたし、真田のお母さんも売る気はなかったけれど、最終的にはSNSの反応などによって、「まち子の絵…こんなに愛してもらえてるんですね…だったらこんな場所じゃなく…大事にしてくれる人のところに行ってほしい…」という心境になり、蟹江商会によって売られることになる。
はっちゃんは「お母さんの決めたことが…」と言っていたが、八雲は「結婚でもしてれば、俺にも言う権利あったのかな」とこぼす。八雲はどこまでいっても真田と数か月友人だっただけで、真田の作品に対して口を挟める権利を持っていない。本人もそれを自覚しているからこそ、辛さがあったんじゃないかと思う。そんな中、結婚していれば、という思いになるのは、真田との関係性を法的に担保することがいかに権力を持つかを表しているように思う。
結婚はただの契約で、当事者同士が納得していれば事実婚でもいいじゃないかという話はよくあるけれど、基本的に両者が生きている間のことしか想定していないのだろうと思う(死後のことを結婚の前から考えるのも変なので当然ではあるが)。結婚そのものに対する憧れを持っている人もいるだろうし、それ自体に良い悪いはないと思う。ただ、今回の八雲、そして真田の立場を考えると、結婚するということは、自分の死後について任せても良い(あるいは任せたい)相手に法的な根拠を与えるという意味合いが強いのだろうと思う。結婚が制度上優遇されるからしたという話はよく聞くが、それは生きている間の話とばかり考えていたので、今回の八雲の感情はけっこう衝撃的だった。
ちなみに私は未婚なので、全然検討外れなことを言っているかもしれません。

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