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最近の記事

辻村美月『傲慢と善良』を読んで③~現代の婚活と自己評価について~

 再度、改めまして、『傲慢と善良』についての感想を、③婚活について、書いていこうと思います。前回の記事をまだ読まれていない方は、そちらも確認していただけると嬉しいです。  本作は、スペックが非常に高く恋愛に苦労したことのない架が、婚活になった途端にうまくいかなくなるという形で、恋愛と婚活の違いを描写していきます。「出会うために、出会う──という婚活のやり取りにも心底疲れていた」うえ、「これ以上続けていても、真実以上には会えないのではないか」と考え、架は友人たちに「まずは一緒に

    • 辻村美月『傲慢と善良』を読んで②~親の存在と子の自立を考える際の「傲慢」という視点~

       改めまして、『傲慢と善良』についての感想を、②母と娘の関係(+姉)について、書いていこうと思います。前回の記事をまだ読まれていない方は、そちらも確認していただけると嬉しいです。 善良についてでも書いたように、ヒロインである真実は誰かに決めてもらうことが多すぎて、自分がない状態(善良)になっています。その原因は、母である陽子との関係にある、というのが、今回のテーマです。真実のパートナーである架は、陽子と会話していく中で、母娘の関係性や陽子の態度について、苛立ちを持っていきます

      • 辻村美月『傲慢と善良』を読んで①~現代の生きづらさである「善良」について~

         まず、本当に面白い作品でした。何がどう面白いのかについては実際に本を読んでいただいてもいいですし、そのうち映画化もするみたいなので、それを見るのもいいんじゃないでしょうか。私は上映されれば見に行きます。映画を見たら、また感想を書こうと思います。ここからは、ネタバレ有で、あらすじと感想について書いていこうと思います。「恋愛ミステリの傑作」と謳われている通り、ミステリ調なので、ネタバレ無しで作品に触れることを強くお勧めします。  本書は2部構成となっており、1部がミステリ調とな

        • ブルーピリオド15巻の感想補足~結婚について~

          15巻は死について考えるものだったけど、「結婚」という制度を新たな視点で考えるきっかけもあった。 八雲たちは真田の絵が売られることにずっと反対していたし、真田のお母さんも売る気はなかったけれど、最終的にはSNSの反応などによって、「まち子の絵…こんなに愛してもらえてるんですね…だったらこんな場所じゃなく…大事にしてくれる人のところに行ってほしい…」という心境になり、蟹江商会によって売られることになる。 はっちゃんは「お母さんの決めたことが…」と言っていたが、八雲は「結婚でもし

        辻村美月『傲慢と善良』を読んで③~現代の婚活と自己評価について~

        • 辻村美月『傲慢と善良』を読んで②~親の存在と子の自立を考える際の「傲慢」という視点~

        • 辻村美月『傲慢と善良』を読んで①~現代の生きづらさである「善良」について~

        • ブルーピリオド15巻の感想補足~結婚について~

          ブルーピリオド15巻の感想~死について考える~

          八雲、はっちゃん、モモちゃんが、そして八虎が、真田の死についてどう向き合っていくかのお話。 八雲たちは生きている真田を知っている当事者だけれど、八虎は当事者じゃない(世田介君は「部外者」と表現してる)。ここの対比はすごく心に刺さるものがあった。 63話、八虎の回想で(モモちゃんに)「『殺されたって思いこみたいってどういうこと?』なんてさすがに聞けなかった」っていうところに、最初戸惑った。八虎が「どういうこと?」って聞きたい気持ちが全然わからなかったけど、直後に、八虎は罪悪感

          ブルーピリオド15巻の感想~死について考える~