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小学校社会科の授業づくり 授業案の書き方① ~「書けない」時の原因は「何が分からないか分からない」~

 「研究授業をします」「授業を公開します」「そろそろ授業案書かなきゃ…」というときに、なかなか筆が進まないことがある授業案。
 なぜ書けないのか?その原因は?今回は、社会科に限らず、シンプルに整理してみます。

1 授業の基本構造

 授業案(「指導案」や「学習指導案」という呼び方もあり、多少考え方も異なりますが、ここでは授業案で統一)がなかなか書けない、という経験をされた教員の方は多いのではないでしょうか。

 やる気が出ない…という場合もあるかと思いますが、やる気が出ないときは、おおよそ自分の中で見通しが立っていないときかと思います。不明な点、見えない点が多すぎて、方向性すら見えない、といった状態では、時間ばかり過ぎて不安になってしまうかもしれません。

 まず、ごく基本に立ち返ってみます。

 授業は、子どもが、目標に達するための取組です。

 授業のおおまかな基本構造は、至ってシンプルです。
 ・目標(目指す姿)
 ・子どもの実態(現状)
 ・授業(単元)

 図にすると、次の通りです。

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 現行の学習指導要領で繰り返し表現されている「主体的・対話的で深い学び」は、1時間の授業に限らず、単元全体で成されるものでもあるため、授業を1時間単位だけでなく、まずは単元レベルで考えた方がブレも少なく、学びも深いものにつながりやすくなります。


 授業案には、学校や自治体によって様々な形式がありますが、基本的にはこの構造のどこかに当てはまります。(おそらく、多くの項目は「授業(単元)」の要素かと思います)

 まずは、単元全体でこれらが大まかに描けているかどうかが、「授業案が書けるかどうか」のポイントの1つになります。


2 基本構造に当てはめてみる

 まずは、この基本構造の中で、自分が書けるものを当てはめてみましょう。

 書ける、ということは、少なくともイメージがもてているものです。

 目標が書けるときは、ゴールイメージがもてているときが多いです。
 教材研究をしたり、学習指導要領を理解したり、といった面が充実していると、書きやすいところかと思います。

 

 子どもの実態が書けるときは、よく子どもを見取っている場合でしょう。
 どんな子が多いのか、中にはどのような子がいるのか、というのは、日々の積み重ねの中でわかっていくものです。


 授業や単元の内容が書けるときは、どんな授業にしようか、どんな風に学習して欲しいかといったイメージ、もしくは願いが、ある程度鮮明な場合かもしれません。


 逆に言えば、書けないところが、自身のイメージが明確でないところになり、「書けない」原因となっている場合が多いです。


3 思うがままに書き散らかす

 この図に整理できるくらいならもう書けている!という方もいらっしゃるかもしれません。
 その場合は、自分の「子どもにこうなってほしい」とか「こういう子どもたち」「こんな授業をしたい」というのを、思うがままに書いてみましょう。

 本当に「書き散らかす」イメージで大丈夫です。


 よく、「書くことが苦手」という方が授業案を書こうとする場合、苦手意識からか最短時間で書こうとすることがありますが、たぶんその考え方は、かえって首を絞めるように思います。

 どんなものにもつながるかと思いますが、「ボツ案」が多ければ多いほど、精度は高まっていきます。

 俗に言う、失敗は成功の母、です。

 授業案を書いている段階では失敗でも何でもないので、思う存分書き散らかして下さい。

 

4 書き散らかしたものを整理していく

 書き散らかした後、書かれた言葉や内容を、先述の基本構造や、学校等の授業案の書式に当てはめていってみましょう。

 やはり埋まっていくところと、そうでないところがあると思います。

 これも自分のイメージが明確なところと、そうでないところが浮き彫りなってくることになります。


 最初から整理して書こうとすると、なかなか苦しいことも多いです。そのため、最初は書き散らかし、その後整理、とした方が、実はスムーズだったりします。


 
5 授業案の書式の書けるところから書く

 ある程度、修正を重ねることに慣れている方は、最初から授業案の書式の書けるところから書けば良いかと思います。

 最初から順番に書かなくてはならない、というルールはないです。

 最後に、全ての筋が通っていればOKなのですから。

 なので、この場合も、書けているところはイメージが明確なところ、そうでないところは空欄となり、自分が授業を構想する上で「何が分からないか」が浮き彫りになります。


 ただ、この場合に注意が必要なのは、授業について検討を進めていく中で、既に書いた箇所の修正をする場合が出てきます。
(というか、よほど精度が高くない限り、だいたい修正です)

 その時、既に授業案形式で書かれたものを修正するのは、何だか今までの作業を無駄にするみたいで、気が引けるものです。

 基本的には、修正を重ねることで、どんどん授業イメージが鮮明になり、授業自体の質が向上、子どもの成長につながっていきます。

修正前提で書くことが大事です。

6 終わりに…書けない原因の1つは「何が分からないか分からない」

 

 いかがでしたか?

 つまるところ、授業案が書けない時の原因の1つは、「何が分からないか分からない」が考えられます。

 書く作業はあまり好きではない、できるだけ早く抜け出したい…と思いがちですが、いきなりドンピシャの授業案を書くことは、どれだけキャリアを積んだ方でも難しいかと思います。

 最初から項目に沿って書こうとすると苦しくなるだけなので、まずはおおまかな基本構造に書いてみたり、思うがままに書き散らかしてみたりして、自分が授業についてどの部分が鮮明で、どの部分が不足しているかが分かるだけで、ずいぶん見通しがもてるのではないかと思います。

 

 もしよろしければ、お試し下さい^^

 


 最後までお読みいただきありがとうございました☆


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