シェア
猿場つかさ
2021年11月29日 20:47
序きみが帰ってきたから、夕残りに虚無の酒を買って一席を設ける。感染症の蔓延する世界では、昔よく行ったワインバーもフレンチも閉ざされている。ぼくが他の友を呼ぼうとすると、きみはさりげなくそれを受け流した晴れ澄みて張れば散らない櫨の枝に霧したたりぬ虚酒夕席に赤寂かカーテン上がり向こう辺のルッコラパセリ摘む白いゆび或る夜はガラステラスに地は透けて飼い百舌鳥の声夜街に似たりつみふえる多言