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改革案の良否は、やってみて1日で分かる。だから、まずやってみる。

こんにちは。企業改革コンサルタントの小野司です。

企業改革に取り組む若きリーダーさん、そしてウィズコロナなどで、企業改革に取り組まれる企業さまに、改革のヒントをお届けしています。

数多くの改革活動をしてきた、私の経験の中のものですが、改革案の良否は、実行後、ほぼ1日で分かることが多いです。

ただし、ここでいう改革案というのは、組織改革・現場改革等の”ソフト系”のものを指しています。設備機器やITシステムなどの大きな投資による”ハード系”の改革は含まれません。

本当に1日で良否が分かるのですか、と疑問に思われるかもしれません。もちろん、例外はあります。性質上、2,3日経たないと「変化」が分からないものです。

また、案の良否が1日で分かるのであれば、すぐやればいいのでは、と疑問に思われるかもしれません。それがやれないのです。

多くの場合、現場も、リーダーも、その”すぐやる”ということが、なかなかできません。今までのやり方を変えることに抵抗があるのです。心理的な障壁があるのです。

では、“すぐやる”ためには、どうすればいいでしょうか。心理的障壁を下げるには、どうすればいいでしょうか。効果のあったものを2つ紹介いたします。

1.変えることのメリットとデメリットを挙げる

たとえ、良かれと思って変えても、何かを「変える」わけです。必ず、メリットとともにデメリットが存在します。逆に、変えることで、デメリットがないのであれば、すでに取り組んでいるはずです。

このメリットとデメリットを、改革メンバーみんなで洗い出します。

そうしますと、デメリットは思ったより少ないのではないか、メリットの方がとても大きいのでは、というように見えてきます。

一番多いのが、工程Aにとっては良くなるが、工程Bにとっては大変になる、という場合です。または、現場はよくなるけど、リーダーは大変になるという場合です(その逆もあります)。

メリット・デメリットを列挙し比較することで、工程全体、または会社全体ではどちらがいいか、という思考が生まれます。

ある工場での事例です。そこの工場は、工程ごとにチーム分けされていました。専門用語でいうジョブショップ制でした。そして、ある一つの工程がボトルネックでした。その工程だけがいつも残業続きでした。他の工程の人は、大変そうだ、助けあげたいと思っていました。
ただ別チームのため、チームリーダーの許可を得てまで、自工程の作業を止めてまで、その工程の助けに入ることはしていませんでした。
それに対し、現場から、製品ごとにチーム分けしたらどうかという改革案が出されました。専門用語ではフローショップ体制への変更です。そうしますと、製品が同じであれば、他の工程も同じチーム内になります。ですから他工程の手伝いに入るようになります。リーダーも自チームの生産性が高まるのですから、歓迎します。
では、なぜ早くからやらなかったでしょうか。工程ごとにチーム編成する場合、同種の作業するメンバーが同一チームになります。ですから、作業を早く覚えられ、スキルも高められます。
ジョブショップとフローショップを端的に説明します。今まで、製造部・営業部と分けていたものを、製品A・製品Bに分けます。そうしますと、製品Aのチームでは、製造と営業が一緒になっているという例です。
この事例の場合、改革案実行前に、多くのメリット・デメリットを出しました。それまでの工程リーダーが、製品リーダーに変ります。そのため、適材適所ができなくなるデメリットが出されました。
例えば、ある製品のチームでは、一部のリーダーに大きな負荷がかかることがわかりました。別の製品のチームでは、正社員が不在になることがわかりまし
そのようなデメリットは出されましたが、やってみようなりました。
結果として、現場の方が工程間で行き来することになりました。いいコミュニケーションが生まれました。

最終的に、この改革案は、1日で良否の判断がつきました。そして、現場のパートさんや従業員さんからは、「もう元には戻れません」という言葉が出てきました。改革案がフィットしたためです。

一方、負荷が増大したリーダーについては、大変になりました。でも、みんなが生き生きしているを見て、自分も張り合いが出てきました。そして、このままでいいですよと言われていました。まもなくらそのリーダーの一部の負荷を他のメンバーで補いました。負荷も分散され、早期に解決しました。

2.元に戻す時の基準を決めておく

人は変わることには抵抗が生まれます。ですから、あらかじめ元に戻すタイミングを決めておきます。元に戻すことには、ほとんどの場合、抵抗がありません。変わらないということですから。

先程の事例の場合、変えたことで、新たなトラブルが発生することがデメリットとして挙げられました。そして、復旧するために残業が増えることが懸念されました。そのため、2時間の残業が3日間続いた場合、元に戻すと決めました。

そう決めますと、トラブルが起きれば、戻せばいい。まずやってみようとなりました。改革案の良否は、1日で分かりますから、3日あれば充分です。要は、改革案をやってみることが大切なのです。


若き改革リーダーのみなさま。変えることには、いろいろなリスクや不安があると思います。その場合、メリットとデメリットを挙げ、上手くいなければ元に戻せばいいのです。そのルールを事前に決めれば、一歩を踏み出せるのです。

最初の一歩に集中するのです。そして、一歩踏み出せば、あとは1日で良否が分かるのです。

行動してみること、そのために、最初の一歩の壁を低くすること、これだけで改革は進みます。参考になれば、うれしいです。

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